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医師バイトの相場。最近の変化。今後の医師のバイトの行方まで。

今回は医師のバイトに関して。

特に一般の方向けに給与の部分にフォーカスを当てたいと思います。

色々書いているうちに、今後の医師のバイトの展望も少し。


医師のバイトの相場は??

そもそもの医師のバイトの相場ですが、それなりに幅があります。
しかし、ざっくりとよく言われる分かりやすい相場は時給1万円です。
とりあえず医師のバイトといえばこれくらいというのが標準です。
これには医師の方々も大きな異論はないと思います。

ただ、特殊な業務や患者数が多いと時給は上がりますし、逆に簡単な業務や患者数がすくないと時給は減ります。
また、リスクが高ければ上がり、低リスクなものは下がる傾向があります。

業務内容以外のパラメーターでは、働きにくい時間帯や休日なども時給は上がります。

この辺りは一般的な仕事・バイトと同様です。

特殊なバイトとは?

ここで、特殊な業務を伴うバイトとはなんでしょうか?

言い換えると専門性が高いものがそれにあたります。

例えば、上手い下手、手際や知識量などを度外視した場合、内科の外来はかなり多くの医師がこなすことができます。

つまり、働き手の供給が多いということになります。

逆に、外科系や皮膚科・眼科・耳鼻科のバイト、小児科や精神科など専門性が高いものに関しては働き手は限られます。

つまり需要と供給のバランスで専門性が高ければ時給は上がりやすいです。

簡単なバイトとは?

では、逆に簡単なバイトとはなんでしょうか?

簡単なバイトには、実際の業務が簡単であったり単純作業系のものと、リスクが低いものが該当します。

例えば、美容系やAGA系、集団接種の問診は簡単かつ単純作業が多くリスクが低いと言えます。
(高い技術が求められる美容外科は除外します)

また、健康診断、検診の仕事も病人を相手にするわけではないのでリスクが低く、医師であれば科に関わらず誰でもできるので簡単な仕事と言えます。(もちろん検診には検診なりの難しさもあります。あくまで他の仕事とリスクと内容を比較しての話です。)

こういったバイトは現在は時給0.5〜1万円程度になっております。

最近下落気味になっておりXでも度々話題になるのを見ます。

下落の理由は後述します。

番外編:変わったバイト(イベントなどの救護室など)

簡単なバイトの中にちょっと変わったバイトも紹介します。

趣味系とも言えるでしょうか?

音楽フェスやスポーツイベント、テーマパークの救護室のバイトというのもあります。

(ボクシングのリングドクターなどは専門性が高くバイトでできるものではありません。)

こちらは基本的には待機メインのバイトのため時給は安いです。

日給は7-8万円くらいあっても、開演・開園から閉演・閉園まで待機したりするので拘束時間が長いことが特徴です。

ただ、基本的には待機なのでPCやスマホを見たり、本を読んでいてOKなのでいるだけでお金が発生する状態です。

フェスやテーマパークなどでは自由に遊んでいて良くて何かあったら呼ばれる、というスタイルのこともあります。

もちろん救護室に人が来れば仕事をしますが、できることも限られていますし、医療施設ではないので特殊なことはできません。処方もできません。

できるのは自宅でもできる程度の応急処置と備え付けの市販薬などを渡す程度です。

そのため、リスクもなく自由時間も多いため時給単価は安く設定されていることが多いです。

事業者としても、そこで稼ぐというのではもちろんなくセーフティネットとして設置する義務があるため、というのがほとんどなので仕方ないですね。

番外編でした。さて、本題へ。

最近のバイト相場の変化

コロナを経て今までの常識が変化した社会ではありますが、医療界も同様に様々なことに変化がありました。
バイトの相場やバイトの需要もその一つかもしれません。

単価が上昇しているバイトは?

私は小児科なので、小児科医のバイトの相場感があります。

小児科はコロナ中から上昇傾向でしたが、コロナ禍を経て現在も都内ではやや相場は上がっている印象です。
2020年初頭のコロナ初期は受診控えがありバイト枠が減ったり相場が下がった小児科も多かったです。
この頃は本当に辛かったです。小児科医は仕事がなかったですね。

しかし、小児にもコロナの発生が増え発熱外来の需要が増加しました。
また、コロナ禍でも手足口病やインフルなどの流行があり最近は相場が上がってきています。

患者数による部分も多いですが、それなりに来る小児科外来であれば1.2〜1.5万円程度のバイトはあります。
(小児科の場合、親御さんも含めて内科も兼務することも多くあります。)

休日などになると時給2万円近いものも見つけることができます。

コロナ前は軒並み時給1万円だったのが、明らかに上がっている感じはあります。

特に発熱外来などは患者数もまずまずあり、リスクもあるため時給はやや高めに設定されていることが多いです。

また、外科系なども相場はあがっています。

やはり、ドクターの数が多くはないため供給は少なく元々やや時給は高めですが、さらに上がっている印象です。

他には皮膚科も上がっている印象です。

これは皮膚科のクリニックが基本的には混むことが多く3分診療でとんでもない人数をさばくクリニックが多いです。
そのため、労力が多いことと、自由診療も同時に多くこなすことができるため、収益力が高めなことが要因かと思います。
働き手からも賃上げ要求があるというのも耳にしたことがあります。

ある大学皮膚科ではバイト先に一律単価の上昇を求めたり、最近では時給1万円くらいだと皮膚科のバイトは入ってくれないとのことでした。

逆に単価が下落しているバイトとは?

検診系や美容系、問診系などの低リスク系のバイトは明らかにコロナ前に比べて時給が下がってきています。

以前はこういうバイトも時給1万円程度でしたが、最近では0.5〜0.8万円になっているところも見受けられます。

特に以前までであれば、美容系脱毛系やAGAの問診などは完全予約制で人数も少なくゆったりしているため、いわゆる「美味しいバイト」でした。

おそらく、収益もそれなりに出るので時給も出せていたのだと思います。

しかし、最近は事業者が増えたため過当競争が起こり、それによる利益減少と「フリーランス医師」の増加による供給過多の影響で時給単価が下がっているものと思われます。

「フリーランス医師」「フリー医」とは?

ここで先ほど使用した「フリーランス医師」という言葉を少し解説します。

最近は初期研修を終えて、3年目から医局に入らず、さらには病院にも属さずにフリーランスの医師としてバイトなどを主な収入として選ぶ医師も増えています。

医局などの人事に縛られずに、自由に過ごすことができるというのが一番の利点だと思います。

「フリーランス医師」「フリー医」などと呼ばれるでしょうか。

そういった医師たちの、臨時収入やとりあえず入って生活費を稼ぐバイトとして、こういった低リスクなバイトはちょうど良かったのだと思います。

また、所属がないママ女医さんも増えており、所属フリーの医師の絶対数は明らか増えていると思います。

検診などはここで上げたバイトは、その影響を受け単価が下がっている印象です。

医師のバイトはどうなる?

今後、医師のバイトはどうなっていくでしょうか?

私は前述した「フリーランス医師」の増加により、逆にスキルのある医師が重宝される時代が来ると思います。

悪く言えば「フリーランス医師」の多くは、経験と知識、スキルをつけることを避けてしまった方達です。

中には習得し終えて「フリー」になっている方もいますが、それは少数派です。

特にスキルがない場合は安い時給で働かざるをえず、効率が悪い働き方になります。

逆にスキル経験がしっかりある場合は、リスクも取れます。

そうなるとそこに対価が支払われるため、時給の高い仕事につくことができ、さらに自身で仕事を選ぶことができるようになります。
場合によっては待っていてもオファーがくる状態になります。

コロナ前までの一定のキャリアから自由選択へ

コロナ前までは、医師は一律に時給1万円などで働くことが多かったのだと思います。

これは、以前までは医学部を卒業→国家試験に合格→初期研修→一律に3年目から専門性習得に大学医局や病院に所属→専門医を取得し、、、、
という、ほぼほぼ一定のキャリアを歩むことがほとんどだったからです。

つまり、どの医師もあまり幅を持たずに医師歴で大体できることや任せられることは決まっていたのです。

しかし、医師にも色々なキャリアの歩み方が選べるようになったため、医師歴に応じて一定のスキルがあることが保証されなくなってしまいました。

今まで、あまり医師のスキルにフォーカスを当てずに時給1万円と決めていたのだと思います。
しかし、同じ医師のバイトでも仕事内容で需要と供給に大きな差が出てきてしまったため、自然発生的に時給単価に差が生まれてきてしまったのだと思います。

一定のスキルを身につけよう

医師は今後、自身の身を守るためにも一定のスキルが求められます。

私は、小児科と内科の外来なら人並み以上にはさばける自信があります。
また、訪問診療なども可能ですし、小児科系内科系の当直も可能です。

おそらく、これで最後まで食っていけると思っています。

どうでしょうか?

そう言い切れるスキル、仕事内容がない医師は何か一つでも身につけておくと安心できると思います。

逆に言えばそうでないと、安泰と言われていた医師であっても安心できない時代が来てしまったということです。

今の時代になってこそ、結局若い頃に専門に入ってしまって一定のスキルを身につけるのが一番の近道だと感じるようになりました。
どの専門医もおよそ医師5〜8年目くらいでしょうか?取れると思います。
まずは、ここを取っておくのが一定のスキルや努力の証拠であり、自身の精神安定剤なのかな、と思ったりします。
まだ、昭和の考え方の私ですが、これは異論があるでしょうか?


今回は以上になります。



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