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阿部定事件に思ふ

純粋な愛の果て


猫も杓子も、知っているセンセーショナルな猟奇的な事件を起こした阿部定について思ふ(う)。

☆物議をかますが、人をあやめることや体の一部を切り取る行為は、身の毛がよだつことであるのと同時に、断じて許されないことをふまえつつ違った側面を鑑みて筆を執る。

阿部定事件は、最初は全く理解できなかったが、
よくよく考察すると、吉蔵を心底愛するがゆえの歪んだ行為だったと思う。

①他の女性に触れてほしくない、吉蔵がほしい。
②そばにいてほしい。つながっていたい。

この2つの想いから、その事件を起こしたのではないかと思う。

当初、2人はよく首絞めをしていた性癖があった。
事件前も、石田吉蔵から、快感だから首を強く絞めてほしいと冗談とも本気とも言える言葉を定にかけていた。
それが事件のきっかけになり、
昭和11年(1936年)5月18日東京都荒川区尾久の待合で、定は吉蔵の首を腰紐で思いっきり絞めた。
吉蔵の命は途絶えた…。

定は傷口から流れ出たシーツに
「定吉二人キリ」と書き、左太ももに
「定吉二人」、石田の左腕に包丁で
「定」と刻んだ。

定の生い立ちは、順風満帆ではなかった。
非常にかんしゃく持ち、男性に性暴力を受け不良少女となり酒に溺れ、あげく父親から冷たく身を
売り飛ばされ、男性不信ではあったが何年も芸者・娼婦をしていた。

そして、定(31歳)が女中の時に出会ったのが、
店主吉蔵だった。優しい吉蔵とすぐさま不倫関係となった。

定にとって、吉蔵は父親から得られなかった愛情を
存分にほしかったのではないか?
家族と離れずっと独りで生きてきた自分にとって、吉蔵と身も心もつながることで、寂しさを安心に変えたかったのでないか?

誰よりも自分のことを愛してほしい、
誰よりも吉蔵のことを愛して愛してやまない。
すべては狂気的で純粋な愛を満たすために。


#なんのはなしですか





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美杖
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