ビジネスの現場で使える人類学
読んだ。
『サイロ・エフェクト』の人の本なので面白いだろうなとは思っていたが、予想以上に面白かった。もっと早く読むべきだったか。
本書はエスノグラフィーを中心とする人類学の手法が、いかに役立つかを紹介する本である。下記のツイートは本書のことを指していた。
こういう時に役立つのはビッグデータではなく人類学であると、ちょうど今読んでいる本に書いてあった / “人は「買いたい」と言うものと、実際に買うものが違っていて、数字や統計だけではそれがわからない。” https://t.co/PeU1dVzYi8
— 骨しゃぶり (@honeshabri) December 27, 2022
世間では役に立つ学問とそうではない学問があるとされる。ここで言う「役に立つ」とは狭い意味で、「金になる」と言い換えても良い。真の意味で価値があるかどうかという話ではなく、ビジネスに直結するかどうかという話だ。例えばネタツイートではあるが、最近こんなのを目にした。
このところ文系への風あたりが厳しいですが、絶対に人文科学(社会学・哲学・文学・歴史学)を生贄に差し出してでも俺たち社会科学(経済学・経営学・法学)は生き残っていこうな。
— 遊撃部長F/S&RWAs (@fstora) December 26, 2022
ネットでは理系が強く文系が弱い印象があるが、その文系の中でさらにカーストを作っているのが笑ってしまった。実際、就職においては社会科学の方が有利で、人文科学が不利とする記事もある。
第5列が、人文科学系が中心で、これは「一般教養」の世界で、最も実学から遠く、企業で直接役立つことはない。
この見解が適切であるかはさておき、そういう風潮があるのは確かと言っていいだろう。
このような風潮に対し、反論の方針としては大きく二つが考えられる。一つはビジネス以外の価値を伝えるというもの。もう一つはビジネスでの有用性を示すというものだ。本書は後者にあたる。
ここから先は
この記事が参加している募集
人に対し何かをしてあげるという事は、全て「見返り」を期待しての行為だ。noteのサポートは文章を読むための「見返り」である。