『つきのよるに』 いもとようこ 岩崎書店
月の夜に、生まれた。
“さぁ、立ち上がるのよ。”
ふんばって、ふんばって、たおれて、 ふんばって、たおれて、ふんばって、たおれて、
おかあさんは、ずっと見ていてくれた。
32回目で、ようやく立ち上がって、、 おっぱいをのんで、、
おかあさんが、はしると、ぼくもはしる。 おかあさんが、とまると、ぼくもとまる。 おかあさんが、わらうと、ぼくもわらう。
おかあさんのまねっこをしながら、たくさんのことをおぼえた。
月も一緒についてくる。
“ぼくのこと、好きなのかな。”
月って、何でついてくるのかな。って、子供の頃不思議だった。小学校1年の息子も、今、同じ不思議に出会っている。
ある日は、突然やってきた。
突き飛ばされた。
今まで、いつも一緒にいたおかあさんから、、 もう一回、、何度も突き飛ばされた。
あの月の夜の日、、
“よくおきき、おまえがひとりで生きていくようになったら、辛いことも、たおれることも、あるだろう。 そんな時は、生まれた時のことを、思い出すんだよ。
転ぶたびに、おまえは、強くなっていくんだよ。”
“おかあさんなんて、だいきらいだ〜”
なき疲れるまで、ないた。
その後は、立ち上がって、とぼとぼ、、あるいた。
後から、お月様がついてきた。
お月様を見上げると、お月様もぼくをじっとみていた。
“おかあさん、ぼくはもう、ひとりで大丈夫だよ。 おかあさんのまねっこ、いっぱい覚えたから、なんでもできるよ。
ひとりぼっちで、さみしくないよ。
お月様がいっしょだから。”
息子は、わからなかったみたい。なぜ、今まで一緒にいたおかあさんが、急に、突き飛ばしたのか。びっくりしていた、なぜだろう。って。
動物は、ある時から、親と離れて1人で生きていくことを、あとがきをよんで、話をすると、
息子なりに腑に落ちたみたい。
私たちも動物だ。
いつかそのときが、くるんだろう。