『サシバ舞う空』 石垣幸代・秋野和子 文 秋野亥左牟 絵
渡鳥の”サシバ”。
ワシタカ科、体長50センチほど、羽を広げると110センチほどにもなる、夏鳥として東南アジアから日本に渡り、秋には冬を越えるためにまた南に戻っていきます。
この風景は、沖縄の宮古島。少し冷たい、秋風一番が吹く頃に、サシバは大群で現れます。時には、2万羽ほどにもなり、青い空が真っ黒になるほどだそうです。
島に秋を運ぶ鳥、サシバ。声をあげて大人も子供も踊り出すほど。季節を感じる渡鳥。
私は、宮古民謡を習っていますが、『鷲の鳥節』など、サシバがでてくる唄があります。
昔は、宮古島独特の”サシバ捕獲方法”があったそうです。おとりのサシバを使って誘き寄せる。
タルタという男の子の胸に飛び込んできたサシバ。紐で誘き寄せることなく、タルタに吸い寄せられるように、飛び込んできた。
寝る時もご飯の時も、畑仕事の時もサシバと一緒に共に過ごすタルタ。
おじいが捕まえたサシバは、タカジューシーになって、食卓に上がった〔タカの雑炊〕栄養があるサシバは、ご馳走だったそう。
サシバは、あしに紐を括り付けて、時には近所の子供と、”サシバ飛ばし勝負”をする。
現在は、サシバの保護運動で捕獲することは禁じられているけれど、昔はこういった光景がよくあったようだし、それは一つの島の文化、そこにしかない、人とサシバの生き方。
ところ変われば、、、で、そこそこの地域で受け継がれているものがあること、宮古民謡を唄う時、その情景が浮かんできます。