モンゴル民話 『スーホの白い馬』 大塚勇三 再話 赤羽末吉 画 複音館書店
私が小学生の時に読んだ記憶のある、スーホーの白い馬。悲しいイメージだけ記憶に残り、でも、色んなところで読み聞かせられている本なので、忘れる事はありませんでした。
広い草原のモンゴルに、スーホという羊飼いの少年がいて、生まれたばかりの白い子馬を助け、心を込めて育てました。
ある時、町でけいばの大会があると知らせがあり、村人から勧められて、スーホは出る事にしました。一等になったスーホは、褒美の約束も裏切られ、大切な白馬も王様に取り上げられてしまいました。
上には逆らえないという、悲しい事柄は、どこにいてもあるもので、権力をふりかざして、弱いものを虐めること、粗末に扱う事は、同じ人間なのに、、と悔しさを伴います。
王様の元で過ごしていた白い馬は、ある時、手綱を振り外し、蹴り上げて、その場から逃げたのです。怒った王様は、殺してしまえ!と弓を放ちます。
たくさんの弓が刺さった白い馬が向かった先は、育ててもらった、スーホの家。
帰ってきた白い馬、しかし、スーホが弓を抜いた後からは血が流れ、スーホの腕の中で息絶えた白い馬。
スーホの夢に出てきた白い馬から、自分の骨や皮で楽器を作るように、一緒にいられるように。と、メッセージをもらい、そこからできた、馬頭琴。
悲しみと愛の交差する物語。小学生のわたしには、ただただ切なさだけが残ったけれど、今になると、それだけではなく、如何に誰かを思うか、伝わる想いは、何よりも強い絆であることが、読み取れます。
それは、私が小学生から成長した証なのだと思います。
こうして、改めて読み返す、絵本。
その時に開いた時が、今まさに、あなたへの何かのメッセージ。
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