深い悩みをもって「なぜ、時間を生かせないのか」を手に取った
本の紹介者:あい
こんな人に読んで欲しい
・いかにして時間を確保するか、悩んでいる人
・タイムマネジメントを可能な限り実践し、毎日を一生懸命生きている人
・いわゆる時短術などのTipsではなく、根本的に「時間」という概念と向き合いたい人
1.タイムマネジメント技術の限界
いつも時間がない。一日27時間あったらいいのに。
そう考えたことがある人、結構いるのではないでしょうか。
かくいう私もそのうちの1人です。
子育てしながらでもなんとか成果を出したいと思い、時間活用術的な本『1440分の使い方』を読んでは、実践してみたり。
違った視点から「時間」を見てみようと『いつも「時間がない」あなたに』という欠乏の行動経済学の本を読み、重要だけど緊急ではないことに時間を割こうとしてみたり。
でも今現在、結局「重要で緊急なこと」を最優先しなければならない状態になっていて、それが日常になっています。(自分の責任ではありますが、この状態を急には脱することができなさそうです。)
急にこの状態を脱することができないとしても、半年後には計画的に今の状態を脱出して「人生の時間」を見直したい。そう思い、この本を手に取りました。
まず、この本の冒頭に書いてあるのは「タイムマネジメント技術の限界」についてです。
タイムマネジメント技術では次の3つの論点で語られていることが多いです。
・いかにして、まとまった時間をつくるか
・いかにして、こまぎれの時間を生かすか
・いかにして効率的・効果的に仕事を進めるか
そして、タイムマネジメント本に書いてあることは「なるほど、やってみよう」と思うようなことが並んでいます。私自身も、これらについて人に語ることも多いです。
ただ、これらを日常生活に取り入れて、上手く場合といかない場合があります。
なぜでしょうか。
それは、これらのタイムマネジメント技術を実践するには、それができる「基礎体力」が備わっている必要があるからだ、と著者は説いています。
では、「基礎体力」とは具体的に何なのか。それは「集中力」だ。と続けておっしゃっています。
このように、タイムマネジメント技術の限界をどのようにして超えていくか、という課題(イシュー)を元に、10の問いを立てて論理展開が進んでいきます。
2.「人生の時間」の意味を掴むための10の問い
10の問いは、次のように進んでいきます。
① いかにして「時間」を使うか→②いかにして「集中」するか→③いかにして「智恵」を学ぶか→④いかにして「反省」するか→・・・⑨いかにして「成長」するか→⑩いかにして「成功」するか
まず、①いかにして「時間」を使うか、の章では、時間の概念ついて述べられています。
【時間の概念】
時間には長さだけでなく「密度」がある。集中力によって密度が変わる。
「時間は人に平等に与えられている」と言われるが、実はそうではない。「時間は不平等に与えられている」これが真実。集中力の差によって、不平等になるのが時間なのだ。
そして、この「集中力」をどのようにして鍛えたら良いか、ということが②いかにして「集中」するか、で書いてあります。
それは、「体を鍛える」「体力をつける」ことだとおっしゃっています。
プロフェッショナルは、知力だけでなくそれを支える体力も合わせて「能力」と言う。確かに、知力があってもそれを安定的にデリバリーできなければ、せっかくの知力も宝の持ち腐れですね。
そして、ここから10の問いと答えが続いていきます。いつくか、印象的なことがあったので、それをピックアップします。
・反省は、「当初の目的が達成できたか、できなければ何がギャップの原因になったか」を考える場とする。つまり、行動の前には、まず目的を設定する必要がある。
・経験だけでなく、人からも智恵を学ぶ。師匠を持ち、まねてみる。
・一方で人まねは限界があること知る。人のまねをすることは、自分の個性を見つけるために必要なプロセス。本当の個性は異なる人とのかかわりの中でしか磨かれることはない。個性を磨き、自立する。
・智恵の等価交換、思いや理念への共感、各々の自立、この3つをベースにした関係性を構築する。
・仕事の報酬とは、「人間としての成長」。このことをまず自覚する。成長するためには、反省や人を通じて自らの課題を知る。課題を卒業するためには、自らの課題から逃げずに「引き受ける」ことから始まる。
・成長するのは、成功するため。但し、「自分にとっての成功とは何か」。この問いを深く考えること。
成功とは、目標を見つけ、それに向かって今この一瞬を生き切ることそのものである。
3.なぜ、時間を生かせないのか
最後に結論です。結局、なぜ時間を生かせないのか。
時間が足りないのは、努力が足りないのではなく、「覚悟」が足りないから。ということでした。
まさにそのとおり。
正確には、覚悟を決めたように見せかけて、よく考えてみるとあと一歩足りなかった、ということだと思います。
ぶれない覚悟をまず決めて、その覚悟にもとづいた人間関係の構築や智恵の蓄積を行う。著者が言うステップを逆算していけば時間の密度が高まるのだということに気が付きました。
グサグサと刺さった、週末の朝でした・・・。
私のように目の前の業務に忙殺されている方。
抽象度を上げて考える時間を確保してみませんか?