「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」を読んでこれからの生活を改めて考える
■こんな人に読んでほしい。
・新型コロナについて基礎的な知識からおさらいしたい方
・様々な情報があふれる中で、情報の真偽が気になる方
・これからどうすべきか、専門家の見解を踏まえて自分で考え直したい方
2019年12月に中国武漢市の海鮮市場で原因不明の肺炎患者が出たと発表があってから怒涛の1年が過ぎました。日本では地域限定とは言え再び緊急事態宣言も発令され、「この状況がいつまで続くのか」「ワクチンは有効なのか、安全性は」等、多くの疑問を抱えている中で本書を手に取りました。
著者の峰宗太郎先生は免疫ウイルス学者/病理医の観点で新型コロナから人間の免疫、ワクチン、PCR検査まで幅広いテーマについて分かりやすく語ってくれます。しかも編集者との対話形式なので一気に読め、非常に学びの多い内容でした。その中で特に印象に残った点をピックアップします。
1.そもそも新型コロナとは?ウイルスとは?基礎の基礎
先ず「COVID-19」は病気の名前で、新型コロナウイルスの名前は「SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)」です…といった内容から始まり、一つひとつの用語と関連する専門知識を丁寧に説明してくれます。一見まわりくどい説明(?)によって理解が深まり、いままで自分が言葉の定義を曖昧にしていた事や思い込み、無自覚の前提を置いて物事を捉えていたことに気付かされました。
また、呼吸器感染症の予防法は栄養と睡眠、手指衛生の徹底、せきエチケット、3蜜回避であり、既に日本で取り組んでいる行動が正しいとも。それぞれの行為には目的・効果があるので過度な対応は考え物ですが、継続して取り組もうと思います。
2.同じデータを見て、なぜ結論が違うのか
同じ言葉・データでも専門家と一般の社会で意味の違うことがあり、その代表的事例としてPCR検査を取り上げています。一部では「希望者には全員、PCR検査を受けさせよう」という取り組みに対して、「たくさんPCR検査をやれば感染者が減らせるのか」と、PCR検査の原理を踏まえて独自の主張を投げかけます。学生時代にPCR実験をしていた者として納得できる内容でした。
3.「信じていい情報」を見抜く術はあるのか
本書では新型コロナに関するインフォデミックについても触れています。世間ではこれまで多くの記事、インタビュー、ワイドショーの発言が出ていますが、残念ながら知識層、医師にも情報リテラシーの低い者がいるようです。
信じていい情報を見分けることが出来るのか?自分の頭で考えて不確定要素について判断すべきとする一方で、騙されることを恐れるあまり「絶対正しい」ものを探そうとするのが一番危うく、騙されたり間違った情報を呑み込んだりすることは仕方ないと述べています。ある程度情報を収集して整理できた時点で正しいと考えていたことをもう一度見直す「しなやかさと強さ」を身につけたいですね。
最後に
この本を読んでも新型コロナに対して白か黒かはっきりしないことは少なからずありますし立場や置かれた環境によって色々な考え方があると思います。ですが、自分で考えるための知識やヒントが散りばめられており、これからどうすべきか新型コロナ対策を自分の頭で考える姿勢を学ぶことが出来ます。この書籍を手に取って、あらためて考え直しては如何でしょうか。