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今になったら笑い話 その1〜ヒロキング〜

 私は小学校1年生の頃ヒロキングというあだ名で通っておりました。名前にプラスしてキングがついてます。王の位をもらってました。この名前の由来は単純に私がめちゃくちゃムシキングをしていたからです。ガンガンスマッシュ!!とにかくムシキングにハマっていた当時の私は上級生にからかわれ、ヒロキングと呼ばれてました。キングなのでそんなこともつゆ知らずか、強がりかそのあだ名を気に入っていました。

 ヒロキングと呼ばれ早1年、小学校2年になった私はもっぱらゲームアドバンスSPに熱中する様になりました。この頃はポケモン、コロッケ、マリオみたいなところをやっていたわけです。放課後、家に帰ってSP、ご飯を食べて、夜怒られながら宿題みたいな日々でした。

 ある日、村営バスで自分の地域よりも遠くへ帰る友人がバスを待つ間、家に遊びに来たことがありました。じいちゃんの部屋で私は64をやり、友達はその後ろで私が持っていたゲームカセットを広げ、私のSPでテキトーにゲームしていたわけです。私がその部屋を出て、帰ってきたとき友人は姿を消していました。「なんだ??」そう思った私に隣の部屋にいた姉がこう言って来たんです。

「あいつゲーム盗ってったぞ」

何!?確かにファイヤーレッドがない!!急いでバス停へ走り出しました。よくわからない感情が湧いて来て半泣きで走りました。いた!!バス停の小屋に彼はいました。彼も心臓が止まりそうだったことでしょう。そして私はこう詰め寄ります。

「なんか姉ちゃんがおめぇがゲーム盗ったって言ってたぞ!!!」

友人のポケットから出て来たのはファイヤーレッド。しかし彼はシラを切ります。

「知らないよ、これ家から間違って持って来たやつだよ。」

そう強気で言われると、少し腰が引けるものの、姉の言葉を信じるしかない。私は持っていったSPにカセットを挿しました。ファイヤーレッドが起動し、レポートされていた主人公の名前は『ヒロキング』。

「名前ヒロキングじゃん。俺じゃん。絶対俺のじゃん。」

100%の証拠です。逆転裁判です。異議アリィ!!です。そして友人の口から出た最後の言葉

「お、俺もなんとなくその名前ではじめたんだよ!!なんか!気に入っててさ」

あきらめろや!!そろそろ!私はふざけるなと一言残し、涙ながらに友人からファイヤーレッドを取り返して家に帰りました。 
 
 ヒロキング、その名前があったからこそ彼からファイヤーレッドを取り返すことができたわけです。ありがとうムシキング。そこから早14年の歳月が過ぎ、私はもう22歳。友人の彼も地元で元気にバイト生活を送っているようです。昔は悔しくて悲しかったこの思い出も今では振り返って、笑えるような宝物ですね。盗みは絶対ダメだけど。

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