ちむどんどん 第122話 話さない主要キャラ。なのにこの満足感。
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売店の前のベンチで話す
優子と房子。
今夜東京から
大里さんという方が来ます。
与那城優子とビデオという方を
探して。
(よなしろ、と聞こえましたが
聞き間違いだったら
ごめんなさい)
与那城は私の旧姓です。
どうしても伝えたいことがあるそうです。
優子さんのお姉さんのことで。
と、房子。
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そのあとひとり
物憂げな目を
海を見つめる優子。
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比嘉家。
大里ごろう。
娘のえつこ。
来訪。
挨拶をする。
与那城優子です。
大里さんは島を出てから
町工場を経営していた。
足が悪いのでえつこが
付き添って沖縄へ来た。
東京に40年。
島の言葉も忘れました。
と、大里さん。
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母の遺品を整理していて
これを見つけました。
と、えつこが
沖縄のかんざしを優子に
さし出す。
優子、手にとって
姉のチーハーです。
と、ひとこと。
(チーハーではないかも!
聞き間違いかも!)
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曲。
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話しはじめる
大里ごろうこと、
草刈正雄。
40年前。
沖縄戦の中
私はあなたのお姉さんの
最後を見取らせていただきました。
小屋に隠れていたら
お姉さんがいました。
撃たれていて。
私はは食べられないからと
握り飯をくれた。
弟と妹に会えたら伝えて欲しい。
見捨てたんじゃない。
必死で探したけど見つからなかった。
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トキエと彫られた
金属の櫛を手にして優子。
これは姉の宝物です。
姉がおねだりして買ってもらったものです。
ありがとうございます。
本当に。
と、優子。
姉はどんな最後でしたか?
(この質問は私には
驚きだが実際に戦争で家族を
無くしたら知りたくなるのかも
知れない。計り知れないものが
あります)
応える大里ごろう。
お亡くなりになる前
水を欲しがりました。
喉が渇いた。
お水をください。
私は少し、水を持っていました。
だけど私は水はないと言いました。
自分たちの明日からのことを考え。
食べ物をもらっておきながら
嘘をつきました。
ごめんなさい。
泣きながら謝罪する
草刈さん。
本当にごめんなさい。
最後を見とってくださり
ありがとうございます。
生きているのか
ずっとわからなかった。
だけど、ようやく。
本当にありがとうございます。
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櫛を手にして優子。
ねえね、うちは
ヒデオを守れなかった。
ごめんなさい。
帰ってきてくれてありがとう。
(この一連の会話を台所の方から
立って見ている、三姉妹と
和彦。ものすごい違和感。
幼いさとるの家に
ご馳走を届けたときに
家族全員で届けて
立ち尽くしていた、
あの時と同じ違和感。
なんなんだ。)
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その夜
櫛を刺して歌子の歌に合わせて
踊る優子。
(とても綺麗な踊りです)
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のぶ子もりょうこも
セリフなくじっと母の踊りを見つめる。
(いい!下手にセリフがなくてよかった。
沖縄戦の話のあと
あー、お腹減った!
みんなでご飯にしましょう!
うち、作るね!とかならなくて
よかった。本当に言いかねないのよ。
これまでを見ていると。)
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海辺のお墓に手を合わせる
房子と優子。
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聞いていたとおりの島だった。
両親が言っていたんです。
世界で一番美しい島だよって。
と、房子。
いろんなことが変わりました。
だけどこの島は変わりません。
と、優子。
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裸足になり
海に向かって歩み出て
房子が言う。
故郷を知らずに育ち
自分の境遇を恨んだこともある。
だけど今は。
ただいま!!
ありがとう。
優子さんのおかげです。
うちはなにも。
ああ、沖縄に来てよかった!
(つづく)