#今日のそよ風 バスの運転手さんに恩がある。
休憩時間に奥さんと
バスの中で飲食をしていた
バスの運転手さんが
市民から会社へクレームを
入れられてしまい
処分を受けたという
ネットニュースを目にした。
内規違反だったものの
読者の反応は
運転手さんに同情的である。
年末年始のバス運転手の忙しさや
休憩時間に夫婦で過ごす時間を
大切にしていたことを鑑みて、
読者は夫婦に対し
大変に暖かい言葉を送っている。
かくいう私もこの件に対しては
大目に見てあげて欲しい
という気持ちである。
(内規違反なので
大目に見て欲しいと書いたものの
本当の気持ちとしては
むしろ運転手さんを表彰して欲しい
という気持ちだったりする)
時代は遡って、私が
物心ついてまもない頃の話。
母と病院へ行った帰り
バスに絵本を忘れてしまったことに
降りてすぐ気がついた。
母に手を引かれてバスを追うと
運転手さんが止まってくれて
絵本は手元に戻ってきた。
大変なご迷惑をおかけした訳だが
運転手さんは笑顔だった。
働く大人のあたたかさに触れ、
しかも絵本を失わずに済んだので
とてもうれしかった。
社会人になってすぐ仕事で
山奥の観光地をバスで訪ねた時の話。
ふもとの駅からバスにのり
山の中腹あたりで降りるはずが
うとうと寝てしまい
気がついたら一周回ってふもとに戻ってきた。
ここが終点なので
お金を払わなければならないところが
事情を察した運転手さんは
断固としてお金を受け取らず
2週目に目的地についたとき
そこまでの料金だけを受け取って
「またここへ来てね」
と、おっしゃった。
それからその場所へは
1人で行ったり人を連れて行ったりと
何度も行くようになった。
と、言うわけで私は
バスの運転手さんに
沢山の恩義を感じている。
それは手元に残った絵本やお金より
はるかに私のなかで大切な記憶に
なっている。
そよ風、吹いてますか?
そよ風、吹かそうよ。
メリークリスマス。
(完)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?