ちむどんどん 第38話 地獄からの飛翔。
今日から何かが変わったのかな。
あるいは今週頭から
かわったのかな。
脚本家が変わったのかな。
あるいはそう思わせるための
今日までの演出だったのかな。
のぶ子も他の人物も変わらないが
空気が変わった気がする。
状況の説明が急に丁寧になり
かゆいところに手が届くドラマに
なっている。
★
あらすじ。
宴会を終え、帰路につこうとする
大野愛さん。
和彦くんはあまゆの外まで
彼女を送りつつ
「本当に送らなくて大丈夫?」
運転士が待ってるから、大丈夫。
と、大野愛さん。
運転士!
(もしかしたら運転手と
言ったかも)
この一言でおそらく彼女が
お嬢様であることがわかる。
店の外に県人会長、
ヨガマスターも出てきて言う。
「沖縄のことを書く為に
鶴見に住んだんだろ?」
「はい。沖縄はライフワーク。
父のやり残した意志です」
的な事をはっきり言う
和彦くん。
★
店の片付けでビール瓶ケースを
外に運んでくるのぶ子。
手伝おうか?
大丈夫。
と和彦くんとのぶ子の会話。
「愛さんは恋人だよね?」
「うん。新人研修で知り合った」
「でーじ、お似合い」
との自然な会話。
ここで、主題歌に。
ここまでの短い会話なのに
すごく満足する
視聴者の私。
多少説明的だが
必要なことを
会話に盛り込み、
短い時間で
気になったことを教えてくれた。
先週までのちむどんに
足りなかったものが
盛りだくさんな気がした。
単に先週までで
ハードルが地下3階まで
下がっていただけかも
しれないが、
それでもホクホクする
視聴者の私。
★
続いて新聞社のシーン。
「のぶ子がぼーやさんを
初めて半月が経ちました」
という冒頭のナレーション。
これだけで嬉しい
視聴者の私。
なんでかというと、
レストランで働き始めてから
すぐに1年半が経ち、
猛烈に話をすっとばされて
下積みを描いてくれなかった
ことに視聴者の私は
がっかりしていたので
半月という短いスパンで
話を進めてくれているだけで
ホクホクしてしまう。
これもハードルが
下がっているからこそ。
話がそれて
ホクホクしてすみません。
★
和彦くんは上司の
タラ島さんに、
新聞の名物コーナー
「我が生涯最後の晩餐」
を自分に書かせて欲しい。
と言う。
うちの名物記事を新人が?
となるが和彦くんも負けない。
「最近のこの記事は
単なる成功者の美食自慢に
なっています。
もっと文化に根付いた
新しい記事にします」
的な事を言い、
何とか担当を任される。
取材先はイタリアから来日中の
三つ星シェフ。
アレキサンドロ・タルデッリ。
(耳で聞いたので
多少の名前違うかも)
了解した上司は
「大野、サポート入れるか?」
と、近くの席の愛さんに
声をかける。
和彦くん
こんなに近くの席の人と
社内恋愛してるんだな。
毎日楽しいだろうな。
和彦くんは
最後の晩餐の記事を
担当するにあたり
最近の担当者を批判するような
口ぶりだったけど
それも受け入れて
咎めない上司、タラ島さんの
懐の深さよ。
★
その上司、タラ島さんは
のぶ子にも指示を出していた。
新聞を真剣に読むのぶ子に
近づいて行き、声をかける。
「新聞を読んで新聞を
好きになろう大作戦、どう?」
新聞を読む習慣のない
のぶ子の為に
業務時間内に新聞を読む
時間を作ってくれたんですね。
ありがとうタラ島さん。
そんなタラ島さんの
質問にのぶ子は
のぶ子ら率直に答える。
「うちには料理の方が
むいてるかも」
なんたる身も蓋もない
セリフ。
その料理をやる為の
下地や文化への敬意が
ないから新聞社に派遣
されたんでしょーに。
とはいえ、
冒頭からいろいろなことが
丁寧に描かれていることで
のぶ子の無神経は
意図的に描かれたものだと
理解して
安心する視聴者の私。
★
新聞社で働きながら
新聞には興味ないと言う
態度ののぶ子の言葉に
対してタラ島さんは言う。
「料理も新聞記事もおなじ。
読む人食べる人の気持ちなって。
作る。書く。
投書欄、書いた人の気持ちになって
よんでごらん」
的なことを言うのです。
すごくいい言葉。
すごく良い人、タラ島さん。
人たらしのタラ島とは
よく言ったものだ。
(特に誰も言ってない)
★
一方、歌子はオーディション当日。
生ピアノの伴奏に合わせて
審査員の前で歌おうとするが
歌い出せず。
5分あげるから外で
緊張ほぐしてきなさい。
と、審査員。
なんて優しい世界なんだ。
★
歌子はのぶ子の下宿先、
あまゆに電話して不在。
あまゆで他の電話番号を聞いて
新聞社ののぶ子につながる。
新聞社でのぶ子が
働いている事を知らない
歌子は
「そこどこ?」
と質問。
どこにいるかはごまかす
のぶ子。
いや、こう言うところが
ちむどんどんの雑さなのよ。
新聞社に電話して
たまたまのぶ子が電話に
出たって事だよね?
他の人なら
「お電話ありがとうございます。
東洋新聞です」
くらいは言うとおもうのさ。
で、のぶ子は半月経ってもまだ
電話口で「もしもし?」
しか言ってないのかな。
(昨日の回を参照ください)
まあ、いいや。
東洋新聞の他の人が電話に出て
のぶ子に繋いでくれたけど
早口で歌子にはどこに
電話がかかったか
わからなかったのかもしれないし。
と、好意的に考えたけども
オーディションの日を
のぶ子の休みの日にすれば
この辺解決したんじゃないのかな。
(とはいえ、このあとの
くだりが少し関係する。
会社でなければならない
理由が少しある)
★
今、オーディションにいるんだけど
歌えない。と、言う歌子にのぶ子は
アドバイスする。
「歌も料理も同じ。
料理は一番食べて欲しい人のことを、
考える。
歌も一番聴いて欲しい人のために
歌えばいいよ」
素晴らしいアドバイスに
驚く歌子にのぶ子は言う。
「うちも東京でもまれて
大人になったわけさ」
なんたるずうずうしさ。
いきなり自分の言葉を
引用して使われた
タラ島さんは
ん??という感じで
のぶ子の方を見る。
バツが悪そうにこそこそする
のぶ子。
今聞いた言葉を
自分の言葉として人に伝える
のぶ子のずうずうしさは
今までと同じなんだけど
使い方が自然だし
人を励ます為に使っているから
先日までののぶ子に
対してのイライラは
発生しない視聴者の私。
★
元気を取り戻して
歌子は翼をくださいを歌う。
泣きましたね。
比喩でなく涙でました。
ドラマの中の
オーディションのシーンの
歌で視聴者を泣かせる
上白石さんの凄みよ。
そして
ワンフレーズで
泣かせる歌声もすごいが
この歌声に頼りまくっている
ちむどんどんの
台本もすごい。
歌の背景にこれまでの
沖縄の家族のシーンが流れる。
これがまた良い。
翼をください。は
今いる場所からの
飛翔を夢みる曲。
だから今いる場所が
地獄であればあるほど
この歌は響く。
私はこれまで
この歌を、この歌の歌詞を
ここまでいいと思えたことは
なかった。
それはひとえに
借金まみれの
サイコパス家族で育ち
詐欺と逃亡を繰り返す
兄を持ち
人を思いやることがない
心無い自分勝手な姉を持った
歌子が歌い上げるからこそ。
地獄からの飛翔願望が
この歌を感動的なものにして
視聴者を落涙させたのです。
素晴らしい。
この歌を立たせる為に
今日まで多くの視聴者に
不快感を与え続け、
朝ドラファンを切り捨て
出勤前の日本国民に
苛立ちと絶望を提供して
きたんですね。
やっとわかりました。
しかし、
犠牲はあまりにも
多くないですか?
ま、いっか。
★
アレキサンドロ・タルデッリに
取材を申し込むが
断られた和彦くん。
あまゆに帰って
のぶ子となぜかいる
大野愛さんに
残念報告したところで
あまゆの電話が鳴る。
電話の主は上司タラ島さん。
電話で和彦くんに言う。
明日、取材できることになったぞ。
今日断られたばかりなのになぜ?
と不思議がる和彦くん。
「ブレーンがいてな」
と、タラ島さん。
ここでいうブレーンは
もちろんあの人でしょうね。
おそらくは大城オーナー。
★
アレキサンドロ・タルデッリに
インタビューする和彦くん。
取材が難しいとされている
シェフだが
のぶ子がお茶を出すと
ありがとう。と日本語で返し
インタビューも日本語でどーぞと
言うシェフ。
ん???
のぶ子がお茶を出す?
つまり新聞社で取材しています。
なかなかインタビュー出来ないと
される三つ星シェフを
新聞社なら招いて。
まあ、のぶ子とこの
シェフのつながりを作っていく
事を考えてそうしたかったのだと
おもわれます。
でも和彦くんの取材に
アシスタントとしてついていく方が
自然だったのではなどとおもいつつ。
ま、いっか。
★
取材で和彦くんは
イタリアは地方の食文化が強い。
などと自分の見解を
披露しつつ
最後に食べたい料理は?
と質問する。
ピッツァマルゲリータ。
と答える三つ星シェフ。
その理由は?と
和彦くんは質問するが
ありがとう、と言って
インタビューを締める
三つ星シェフ。
日本語通じねえのかよ。
などと言ってはいけません。
ニュアンスとして
時間もないですし
理由は簡単には言えないので
すみませんがこの辺で。
という感じでした。
でも、それを聞かないと
記事にならないのよね。
★
案の定、
デスクに戻りタラ島さんに
叱られる和彦くん。
これのどこが新しいんだ?
なぜピザが好きなんだ?
イタリアは北部と南部で
食文化が違う。
だから、シェフが
南北を越えて
ピッツァマルゲリータを
選んだのか!?
それを聞かなきゃ意味がない。
なんで聞かなかったの?
何を聞いてきたの?
などなど。
自分の見解を説明する和彦くん。
それに返すタラ島さん。
新聞はお前の意見発表の
場所じゃない。
追加取材申込め。
追加取材!
ただでさえ
取材を受けてもらえない
シェフに追加取材!
しかもタラ島さんから
ブレーン経由でやっと
取材できたのに、追加!
ここらへんで
のぶ子と大城さんのつながりが
活きてくるのかな。
★
シェフがイタリアに
帰ってしまい
和彦くんと大野さんと
のぶ子でイタリアに取材、
のぶ子は2人とはぐれてしまい
持ち前のずうずうしさで
イタリアで10年生き抜いて
帰国とかでも良い気はします。
すごい成長してさ。
率直な性格は
イタリアに合いそう。
★
それにしても
新聞は読む人のことを考え
料理は食べる人のことを考え
歌は届けたい人のことを考える。
ということを強く伝えた今回。
ついにドラマ製作陣も
視聴者のことを考え始めたのかも
しれない。
それが台本にも
演出にも出ている気がする。
おめでとうございます。
ついに気がついたんですね。
これからちむどんどんは
どんどん良くなる気がします。
ありがとうちむどんどん。
★
そういえば
雪のシーンは先日
ちらっとありましたが
今のところ
雨のシーンがない気がします。
あったかな?
今後雨のシーンがあるとしたら
そうとうに意味を持ってくると
期待しております。
(完)
あと、Twitterでは
告知しましたが本日6/1の夜に
ツイキャスにて
毎月行なっている
トークライブ
がんばっていただいて
を行います。
普段あまりドラマの話とか
しないのですが
可能ならちらりと
ちむどんどんについて
話してみたいと思いますので
お時間ある方は
ぜひともよろしくお願い申し上げます。
Twitterにリンクを貼る形で
30分ほど配信します。