透明な夜の香り/千早 茜

小説で「香り」を表現できるなんて。

文体がとても魅力的である。
この先の展開が気になる、わくわくとさせる文体でありながら、同時に、小説の中の世界観や登場人物に没入し、この物語が終わりに近づくことに寂しさを感じさせる、稀有な小説である。

食事のシーンは秀逸である。
「苺とミントのスープ」「金木犀のジュレ」「焼きアスパラガス」、描かれている食事がどれも魅力的で、物語に文字通り「香り」を与えている。
同じミントでも、ペパーミント、スペアミント、アップルミント、それぞれ違いがあるとのこと。
ハーブや食材に対する知識があると、より楽しめるのだろう。

登場人物がみな個性があり魅力的である。
中でも気に入ったのが「ミツコ」さんと「新城」
実写化するとしたら、「ミツコ」さんは夏木マリさん、「新城」は青木崇高さんかなあ。

読後は、家にあるハーブティーを引っ張り出して、いそいそと飲んでいる。
香水かあ・・・ほとんど付けたこともないが、、興味が湧いてきた!

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