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父と喧嘩をした話

「どうしてできなかったんだ」

これは父の口癖で、私が一番苦手で大嫌いな言葉だ。



父親と私は、今年の年明けくらいから喧嘩をしていた。

父からの頼まれごとを引き受けることができなかったことがきっかけだった。

「ごめん!予定があってできなかった!」と伝えると、

「どうしてできなかったんだ。そのくらいできただろう」と父から怒られた。

確かに私は無職だが、無職にだって予定がある。そもそも頼んでいるのは父なのに、その言い方はいかがなものか。

そんな人の都合を考えない父に久しぶりに腹が立ち、「こっちの都合も考えて!そういうところ昔から大嫌い!」と言い残して、その日から私は父を無視するようになった。そう、逆ギレだ。



そんな状態のまま札幌を離れたのだが、その日から定期的に父からは「元気にしてるか?」「風邪に気をつけろよ」など、何事もなかったかのようにメッセージや着信があった。

全てのメッセージを無視していたところ、年賀状まで届いた。



正直なところ、私が「その言い方は違うんじゃないか」「そんなこと言われて頼まれたいとは思わないよ」と伝えれば解決した話なのだが、頑固な父から一方的に価値観を押し付けられて終わることは目に見えていたので、私は「無視」というアクションを取った。

気づいて欲しいという理由のほかにも、ただ素直になることができなかったからという理由もある。

父は私にメッセージを送り続け、私はそのメッセージを無視する。

そんな状態のまま1ヶ月半が経った。



3日前、久しぶり(?)に実家に帰省した。

飲み会帰りで帰宅時間は深夜0時をまわっていたので、両親を起こさぬよう静かに自分の部屋に向かった。

部屋のベッドはキレイにベッドメイキングされており、パジャマまで用意されていた。

寒さに震えながらシャワーを浴び、布団に入った。

電気毛布をセットしてくれたようで、布団の中はポカポカだった。幸せな気持ちになった。

「実家最高だな〜〜〜〜〜ありがとう〜」

なんて思いながら、幸せな気持ちで眠りについた。



翌日、母がこんなことを言っていた。

「お父さん落ち込んでたよ。

"ほなにLINEをしても返ってこないし、電話にも出てくれない。その日は気持ちに余裕がなくて、キツめに怒ってしまって反省してる。" 

って。」

私は気にしていないフリをして「ふーん」と言った。


「昨晩、ほなの布団とか電気毛布とかを用意したのもお父さんなんだよ。」

この話を聞いたときは、目頭が熱くなった。

(最近はしているけど)家事はおろか、ベッドメイキングなどしている姿を見たことがなかったあの父が、娘の布団とパジャマを用意していたのだ。


「ごめんなさい」の一言で済むはずなのに、無視されながらも何通もメッセージを送ったり、手紙を書いたり、普段は全くやらないベッドメイキングまでやって。

私は大事な人を怒らせてしまったときに、ここまで行動することはできるだろうか。

これは父なりの精一杯の謝罪であり、愛情表現だったのだなと、このとき思った。


たぶん父は私のことが大好きなんだと思う。私もそんな不器用な父のことが大好きだ。

大嫌いって言ったり、無視したりしてごめんね。次はデートしようね。

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ほなみん
シュークリームが食べたいです