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気付いたら32歳で家具職人になっていた。(その4)

まさかこんな日がくるとは。
32歳で学生に戻りました。
数年前まではサラリーマンで一生を終える選択肢しかなかったけど、
勢いと、情熱にまかせて受験・退職。晴れて木工を学ぶ1年生になりました。

入校式

職業訓練校にも入校式があります。
これまで設計や開発の仕事をして、私服で出社、会社では作業着。
なのでサラリーマン人生10年ほどでスーツを着たのは年に数回の出張のときくらい。
そのくらい着慣れていないスーツでびしっと決めて、木工の学校の入校式に臨みます。

このときに、これから1年間を共にする仲間とはじめての顔合わせ。
受験で見た顔もちらほら。

私が通った訓練校の木工科は21名。男子19名、女子が2人。
そして年齢もバラバラ。高卒の18歳から上は37歳くらいまで。
私は32歳で上から3番目でした。

先生は5~60歳くらいの元木工所勤務のベテランの方と、
35歳くらいの職員の方。
主に教えていただけるのはベテラン先生の方になります。

授業

希望に燃えた入校式を終え、早速授業に入ります。
木の知識や製図の仕方などの座学が2割ほど。
ほとんどの時間は実践の授業になります。

最初は鉋の仕込みと刃物の研ぎ方。
そして鋸やノミなどの手工具の使い方を行います。

1~2ヶ月ほど手工具で課題をこなしていったあとは
木工機械を使っての授業になります。

基本的に訓練校の木工機械は良い物が入っています。
油圧式で軽い力で穴が掘れる角のみ盤や、
数値を入力したら自動で厚みを設定できる自動鉋盤など。
極めつけは集塵装置がすべての機械、そして床にまでに張り巡らされているので木屑の処理が夢のように簡単。

個人で工房をおこしたり、小さな木工所に就職したときには
きっと訓練校の環境がいかに良かったかを思い知らされます。

就職

木工に集中し、放課後は年代の離れた仲間と遊んだりと
あっという間に時間がたっていきます。

年末頃から就職にむけての活動が始まります。
訓練校は就職に向けての技能を習得させる場所。
なので基本的には就職をする方向で動きます。

ただ木工業界はかなり厳しい業界に入ります。
賃金が安い、休みが少ない、怪我のリスクが多い。
実際、私達の代の卒業生が3年後に木工業界に残っていたのは
21名中、4~5名ほどです。

私も最初は就職を探していましたが、独立も視野にいれていました。
ただ独立するとなると工房を借りて、機械も1からすべて揃えるとそれなりの金額になります。

どうしようか悩んでいたところ、最年長だったFさんから
「工房を一緒に借りないか?」
という提案。

もちろん断る理由もないのですぐさまOK。
さらに、就職はしたけど休日に自由に使える工房が欲しいという仲間が3人加わって、5人で工房をシェアする計画に。

この時が1月くらい。
ここから3月の卒業までに工房の物件探しと木工機械探しで
独立に向けて走り出します。

卒業、そして独立へ

そこそこ安い物件も見つかり、一通りの木工機械も調達できる目処が立ち、独立の準備が無事に整いました。私が通った年に、一緒に工房をシェアする仲間がいたのが本当に運が良かったと思います。

本当にあっという間の一年間を終えて、32歳から木工家人生がスタートしました!

ちなみにこれが卒業制作で妻のために作ったドレッサーです。
今でも活躍しております。



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