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映画「窮鼠はチーズの夢を見る」を観て

 1ヶ月振りに映画館へ行ってきました。いつもはネット予約をして「観よう」という意志のもと行くんですが、今日は完全になんとなく。観るものさえ決めずに行き、気になっていたこの作品の上映時間がドンピシャだったことから、今だなと思って観ました。

 以下、映画のネタバレを含みます。嫌な方は戻って頂けたら。読後クレームは無しでお願い致します。




 予め言っておくと、私は原作未読です。そして、これは多分原作知らないと察して観ていく感じのストーリー構成になってます。モノローグとか無いので。その辺りがしんどい方にはオススメしない。時系列が軽く前後したり、端折ったりしているであろうところも多々見られたので。とりあえず、原作も読んでみようかな。

 というわけで、本当に映画のみの感想。

 なんというか、枠組み……形……型? 定義が上手く言葉にならないんですが、確固たる形を持った幸せって怖いよなって思う。だって、いつかきっと消える、失う、無くなる。報われないとかネガティブとかそうじゃなくて、根付いてるものだから、どうにもならない。

 自分から渡す分には全然平気で。だって別に本気で見返りを求めてるわけじゃないから。簡単には差し出されないのを分かっているから要求が出来るわけで。それが通ろうが、最後の一線まで踏み込ませないことを分かっているから、本気にしなくて済むわけで。でも執着とか独占欲とか、そういうのは別のものなので明らかにするのはおかしな話ではなくて。

 けど、与えられると困る。軽い受け取り方とか知らないから期待をしたくなくても勝手にそういうの湧いてくるし。でも表裏一体だから、同時に無くなるいつかも見えてしまう。だから、困る。苦しい。辛い。

 それが最終的に終わらせてくれってなる今ヶ瀬くんかなって。

 大伴さんは、逆に最終的にちゃんと確固たる居場所作っちゃった辺りが歳上だなって思った。 

 この人、計算高いし、その辺りの関係最低だなぁって思って観ていたけれど、なんというか……言い表すの難しい。執着したの今ヶ瀬くんに対してだけなんですよね、結局。というか、さみしがり屋だ、大概。

 奥さんとは、浮気するのいいけどされるの嫌、とかでなく、綺麗に別れたわけだし。あ、追い縋るとか泥沼化しなかった、とかの意味で。浮気相手と切れないのは、逆に、大事にしようとかの意志が無いせいに見えたんだよな。極論、都合の良い相手だからっていう。なつきさんは論外。

 岡本さんは、逆にタイミングなのか。今ヶ瀬くんと関係性がまあなんとなくはっきりしてきて、そのせいで緩んだというか。確かにそう見えたんだけど。下心。でも、そのつもりは多分本当に無かったのでは、と。そういうの心の奥底に1割くらい持ってても、関係までは持たなかっただろうなって。

 だから、現在を謳歌しつつ、段々色んな輪郭がはっきりしてきて。大伴さんなりの大切にしようが見えてきて。プレゼントも携帯も、その他諸々も。世間一般の普通なんて、一線越えた辺りで、どっかに行ってた。なんだけど、それが引っ掛かかった今ヶ瀬くん。上の通り。で、好きだから手を離すよ、ってした大伴さん。逃げ場無いと苦しいもんね。苦しかったんだもんね。

 まあ、戻ってきてしまったけど。好きだし、過度な期待せずに済めば楽だったから今ヶ瀬くん的に婚約したあのタイミングで戻るになったんだろうけど、大伴さんもう状況まるっと含めた好きを認めてたもんな。自分の中で。だからまた逃げちゃうんだけどさ、今ヶ瀬くん。

 覚悟って言葉は多分正しくないけど、大伴さんの中で、もう彼だから、彼しか、ってのが腑に落ちちゃってたから。ゲイバー?クラブ?のところの描写が、個人的にそうかって。今ヶ瀬くんを探す目的とかあったのかな? 私的には“そっちの世界”って見てた相手側に踏み込んでみようって見えて。そこで、そうかって。

 逃げ場を失ったのは多分、どっちもなんだよね。何がどう足掻いても、結局お互いしかってなってしまっているんだから。ズレてたものが段々ハマってしまった感じ。

 その人だけはすべて例外。心底惚れるってそういうこと、らしい。

 そうそう、今ヶ瀬くんはどちらかと言うと女性的な考え方、視点を持ってるなぁって観ながら思ってました。雰囲気もなんとなく女性的なとこが見え隠れしてて。多分、対峙してるのがほぼ女性だったので余計にそう見えたのかもですけど。

 でもだから、駆け引き、とか、恋愛に対する葛藤云々って本当に性別関係ないよなって思いました。あれは、人としてのやり取り。勿論、どんなことでもそうだけれど。

 愛とか恋とか普通とか、ほんとなんだよ。

 あ、そうそう。R-15なわりに、予想より濡れ場多くて、ちょっとびっくりしました。苦手な方はお気を付けて。

 なんかつらつら書いちゃいましたけど、再会してのハッピーエンドは来るのかな。このエンドも決して多分、バッドエンドなんかじゃないんだけどさ、大伴さんにとって。原作読んでみよう。

 最後までお読みくださり、ありがとうございました。

2020.9.17

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