[超初心者向け!]蛍光色素の励起光と蛍光はなぜ色がちがうのか?
あなたは、生物学の研究をしている。
蛍光色素を買いたいな、と思って、ネットで検索する。
すると、いろんな蛍光色素の名前と、それぞれの特性がずらりと書かれた表がたくさんヒットする。
特性は主に、
Excitation (ナノメートル):励起光の波長
Emission(ナノメートル):蛍光の波長
のふたつだ。
こういう表をながめてると、すぐ気づく。
励起光と蛍光は波長が違うのだ。
つまり、励起光と蛍光は色が違う。
例えば・・・
青(490 nmぐらい)で励起される色素は、
緑(530 nm ぐらい)の蛍光を放つことが多い。
緑(530 nm ぐらい)で励起される色素は、
赤(640 nm ぐらい)の蛍光を放つことが多い。
入れる光 → 出てくる光 の波長だけ比べてみると・・・
490 nm → 530 nm
530 nm → 640 nm
という感じで、出てくる光の方が波長が長い。
これはどの蛍光色素でも同じだ。
なぜこうなるかをちゃんと理解するには量子力学を理解しなきゃいけないらしいんだけど、僕は量子力学は分からない。
生物学の立場からは、ふたつだけ理解すればいいと思う。
■ エネルギー保存の法則
■ 光は波長が短いほどエネルギーが高い
まず、
■ エネルギー保存の法則
この法則によれば、入れたエネルギーより高いエネルギーが出てくることはあり得ない。
だから少なくとも、
入れたエネルギー = 出てくるエネルギー
でないといけない。
でも実際には、
入れてから出てくるまでのエネルギー効率が 100%!
なんてあり得ないんで・・・
入れたエネルギー > 出てくるエネルギー
ってなるのが普通だ。
つまり、
「出てくる光の方が、エネルギーが低い」
次に、
■ 光は波長が短いほどエネルギーが高い
を思い出そう。
「出てくる光の方が、エネルギーが低い」
かつ、
「光は波長が短いほどエネルギーが高い」
ということは・・・?
「出てくる光(蛍光)の方が、波長が長い」
ってことになる!
だから、
青い光で励起すると、緑の蛍光が出てくる。
緑の光で励起すると、赤い蛍光が出てくる。
というわけだ。
* * *
生物学の実験をやってる時に、こんなことをいちいち思い出してる人はまずいないだろう。
でも、生物学を学ぶ人たちが蛍光について学ぶ時、
今回書いたことは
「基本中の基本」
として一度は理解しておく必要がある。
蛍光について考えていて、頭がこんがらがったら、一度ここに立ち戻ってみるといいと思う。