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「1000」を「10の3乗」とか書くのってなんの意味あるわけ?と思ってるあなたへ
グーゴルっていう数がある。
グーゴルは、グーグルの社名の由来らしい。
グーゴルは、なんと10の100乗!!
つまり1の後にゼロが100個もつく、ものすごくでかい数だ。
うちの小2の息子はこのグーゴルが大好き。
子供向けにグーゴルを紹介する絵本があって、それを読んだ息子はこのめちゃくちゃでかい数をすっかり気に入ってしまったのだ。
何かがたくさんあるって話になると、すぐ
「それ、グーゴルぐらい?」
と聞いてくる。
僕は大抵、
「そんなにあるわけないだろ笑」
と答える。
生物学と累乗
生物学にも、グーゴルなんてでかすぎる数は出てこない。
でも、10の100乗は出てこなくても、10の5乗とか、10の7乗ぐらいの数はよく出てくる。細胞の数なんかは、それぐらいのケタになることが多いのだ。
つまり細胞が、10の5乗個あるとか、10の7乗個ある、なんて表現がよく出てくる。
数を「10の〇乗」という形で書くのを、
10の累乗(るいじょう)
っていう。
なんでわざわざこんな書き方をするんだろう?
大きな数を短く書きたいなら、
100000 = 10万
10000000 = 1千万
とか書けばよくない?
日本語は4ケタずつ、英語は3ケタずつ
生物学に限った話じゃないけど、研究者は、1千万とか1億とかいう言い方はまずしない。
理由のひとつは、日本語と英語の数の名前の違いにある。
日本語だと、1万、10万、100万、1000万、1億と、4ケタずつ数の名前が変わる。でも英語だと、100 million の次は 1 billion で、名前は3ケタずつ変わっていく。
この違いはかなりツライ。
日本人は、「1億」って英語で言おうとしても、”100 million” ってパッと出てこない。
(出てこない人が多い… 僕も含めて…)
その点、ふだんから10の5乗とか7乗とかで数を考えるクセがついてると、英語でも日本語でも累乗の書き方は同じだから、楽なんだな。
掛け算が足し算になる
もうひとつの理由は、掛け算が圧倒的に楽になるから。
ラボで実験をしてると、簡単な計算をしなきゃいけないことが多いんだけど、とっさに
「100万の100倍は?」
とか言われると、
「ええと、1億だな」
と一瞬考えてしまう。
集中して実験してる時は、この一瞬がストレスになるし、焦って考えると間違えるかも知れない。実験装置に、ヒトケタ違う数の細胞をブチ込んだら、大変なことになる。
でも、
「10の7乗の100倍は?」
と考えれば、
「7 + 2 = 9 だから、10の9乗!」
と直感的に分かるんで、圧倒的に楽だ。
掛け算が、足し算になる。
累乗の真価はここにある。
累乗ってすごい。