「秋の歌“Chanson d'automne”」を訳す
ポール・ヴェルレーヌの“Chanson d'automne”を訳してみた。
上田敏の「秋の日の ヴィオロンの」で始まる訳詩が余りにも有名だ。
ぼくもこの訳によってヴェルレーヌが好きになったひとりだが、
現代では文語体すぎて若い人には受け入れられないのではないか?
ならば、現代口語訳にしてみようというのが、ぼくの訳詞の目的である。
こうして意訳してみたものが下記である。
また、この意訳のために直訳したものがその下にある。
これは原詩に則って、6行・3行・3行・6行にしている。
さらに原詩も載せた。声に出して読むと韻を踏んでいてとても美しい。
ぼくの意訳は4行・3行・3行・4行の構成であるが、自分では気に入っている。
秋の日の悲しみ
バイオリンの哀しい調べが
秋の冷たい風とともに、
灰色な憂いを帯びて
私の心を痛ませる
時を告げる悲しい音が
青い氷のような
苦しい胸に突き刺さる
過ぎ去ってしまった
幸せだったあの日
思い出すたびに涙ぐむ
邪悪な風に
枯れ葉が舞うように
あちらこちらへと
私は吹かれてしまう
秋の歌
長い嘆き
ヴァイオリンの
秋の日の
心を傷つける
憂鬱な
単調さ
胸苦しく
青冷め
時を告ぐ
思い出す
遠い日々
そして泣く
私は往く
邪悪な風に
私を運ぶ
そこかしこ
似ている
枯れた葉に
Chanson d'automne
Les sanglots longs
Des violons
De l'automne
Blessent mon cœur
D'une langueur
Monotone.
Tout suffocant
Et blême, quand
Sonne l'heure,
Je me souviens
Des jours anciens
Et je pleure;
Et je m'en vais
Au vent mauvais
Qui m'emporte
Deçà, delà,
Pareil à la
Feuille morte.