因果逆転ADV「Inverted Angel」
Steamで1000円くらい。
プレイ時間はトロコンまで8時間。
あらすじ
「ピンポーン」
チャイムが鳴る。
インターフォン越しに訪問者を確認する。
知らない女性だ。
なのに、こちらのLINEも把握されているし
今日がバイト休みなのも知られているし
まるで自分の恋人かのように振舞っている。
この女は、誰だーー?
システム
因果逆転アドベンチャーゲーム。
訪問者が何者なのかを考え、言葉にするーー自由記述で。
そう、選択肢から選ぶのではなく自分の言葉で推理をするゲーム。
判定はインターネット上のAIが行うため、通信環境がなければおそらく遊べない。
ただし、何を言っても通るわけではなく、
その場面で主人公が言えそうなことに当てはまれば通る、という感じ。
端的に言ってしまえば、オープンクエスチョンの推理ゲームである。
何が因果逆転かというと、
冒頭の物語→最初の分岐→ルート分岐
と、ルート分岐までに2パターンくらい共通の会話展開があるのだが、
その後のプレイヤーの推理によって、それまでの会話の意味すら別物になってしまうということだ。
「言葉は想像に輪郭を与える」
見知らぬ女性が何者かを言葉にし、確信を持つと、彼女と自分の立ち位置が決定され、全く異なる展開が待ち受ける。
ルートに入った後は、彼女との会話を通してその物語の真相を追求する。
ここでも自由記述となり、彼女の話にある「矛盾」をつきつけ、
嘘を暴き、彼女の素性を暴くターンというわけだ。
ーーん? これって。
ーーと、いうことだ。
上記2ゲームと異なるのは、オープンクエスチョンであること。
実質、国語の記述問題みたいなものだ。(それも、センター試験のように確実な読解手段があるわけではない)
一応HINTは貰えるのだが、それも婉曲的で、
想像をしっかり膨らませないとヒントにならないレベル。
皆さん、恋人(を名乗る女性)との会話はちゃんと覚えておきましょうね。嘘もつき続ければ綻びが生じるのだから。
難易度
アドベンチャーゲームとしては最難関。
何しろ、総当たりが効かない。
攻略を見ない場合、プレイヤーの記憶力と読解力と根性と発想力が要求されるので、クリアできない人は全くできない類のもの。
勿論、推理ゲームなんて難しければそれだけ解けた時の快感は大きいものですからね、文章に一家言ある人は是非プレイしてほしいものだ。
雰囲気
ルートによって大きく変わるが、
電脳系の展開もあるし、
エログロナンセンスな展開も……あるし、
お砂糖みたいに甘い展開だって。
要は、あなたが彼女をどう思うか。
あなたが思ったから、彼女が或るのだろう。
感想
今年一番面白かったまであるな。
API動かなくなったら遊べなくなる可能性あるし、早いうちに遊んどいた方がいいゲームだ。
音楽が良い、良すぎる。
ああ~~破滅だよこれ って感じの曲が流れた時の絶望感がよい。
基本、画面が動かないゲームなので音楽で緊張感を煽るのが主になるが、
知らない女性がLive2D的にゆらゆら揺れているのも不安を募らせる場面がある。
共通ルートの時点から、知らない女性の会話が妙に哲学的で、
独特なテンポに振り回されて大事な発言を聞き逃しがちなの、ゲーム設計がうまいねえ。
話が通じそうで通じない塩梅なのが緊張感を与えるんだよな。
ルート分岐がややこしく、選択肢が見えない(自由記述)ため、
攻略を見ないでクリアしたい場合は、プレイ開始時点から気になった単語や言動をメモしていくのがいいだろう。
あと、自由記述をAIがどう判定しているかとか。
ルートごとに話を……します! ネタバレといえばネタバレ
最も美しい話。
登場人物たちの人生、考え方、事情が描写され、
その上で今夜をどんな意気込みで迎えているのか、
そういった情報が出たうえで、最善の結果へ進めるのが美しい。
全ては”彼女”の思惑通りだったのか?
いいえ、一番良い出目が出ることを期待しながら
整えられるところまで状況に手を尽くして、
それでも最後に運否天賦。
そういう恋だったのだと、最後に信じられるように。
これは想像の埒外だったというか、当然考えうるケースなはずなんだけど
思いつかなかったなー。
2人は末永く仲良くしていてほしいね。
一番最初に到達したルートがこれなんだよなあ。
ああ~マジかあ~~って声が出たよ。
強めの叙述トリック。
分岐条件が分かりやすいし、話の終着点がハッピーエンド寄りだったので
これがノーマルエンドなのかな?
いい話といえばいい話だ
結局のところ、本当にチーズケーキがキッカケだったのかな。
実質14へ行けエンド。
プレイヤーがきちんと輪郭を与えられずに諦めるとここへ流される。
ヤンデレはもうコリゴリだよお~~
Inverted Angel
言葉にできることなんて、考えてることのほんのひとかけら。