惨劇ループADV「幻想牢獄のカレイドスコープ」
シナリオ:竜騎士07
(代表作:ひぐらしのなく頃に、うみねこのなく頃に、Rewrite(一部ルート))
イラスト:樋上いたる
(代表作:Key作品の原画、Rewriteは企画原案から)
デスゲームに巻き込まれた4人の少女が、憎悪をぶつけ合いながら最終的に大体死ぬ話……が繰り返され、真相が明かされていくいつものスタイル。
ルール
まずはデスゲームの詳細。
プレイヤー(主人公)は4人の少女に、4枚のカードを任意に配布する。
4枚のカードは「断罪者」が2枚、「ピエロ」が1枚、「死刑囚」が1枚。
少女は貰ったカードによって役割を負う。
「死刑囚」の役割は文字通り、処刑されること。
「断罪者」の役割は「死刑囚」を処刑することであり、1人が「有罪」か「無罪」を宣告でき、もう1人が「処刑用レバー」を引ける。
最初に「有罪」か「無罪」を宣告した「断罪者」のみが「有罪」「無罪」の宣告権を得て、もう一人は処刑権を得る形なので、断罪者一人の一意で処刑はできない仕様。
「有罪」を宣告することで、「死刑囚」が処刑椅子に固定され、処刑用レバーが出現するのだが、もう1人の「断罪者」の手によってしか処刑は成立しない。
「無罪」を宣告すると、「ピエロ」と「死刑囚」の役割を交換する。
また、このゲームの制限時間は5分であり、時間切れまでに処刑を実行できない場合、4人全員が死亡する。
処刑できれば、残りの3人が生還できる。
4人は仲良し4人組なので、何とかして全員生還できる道を探す……のかと思いきや、4人はそれぞれ4人の中に「大好きな親友」と「大嫌いな奴」がいて、しかも「親友」だと思っている奴に嫌われている……という4すくみ状態になっている。
そのため、プレイヤーがどういうカードの配り方をしても、「断罪者」の中で「死刑囚」と「ピエロ」のどちらを殺すかで必ず意見が分かれる仕様。
満場一致で殺す奴を決められることはあまりなく、大体は揉めに揉めて時間切れになったり、処刑前に絞殺するなどして意見を統一したりする地獄が待っている。
面白い部分
萌え絵の女が絶叫しながら憎悪をぶつけ合って蹴落とし合いをするところ。
あと、全12パターンあるカードの配り方によって、4人が「殺す側」「殺される側」それぞれの立場でどういう反応をするかを楽しめる。
声優の力演もあり、怒鳴り声や煽り声など、普通のゲームであんまり聞けないような声を聴けるのはこのゲームならでは。
また、12パターンのシナリオを全て読むとグランドエンドへ向かうのだが、読んだシナリオ数に応じて「物語の真相」へ近づく追加シナリオが添付されるので、どんな読み方をしても真相が明かされる快感は一定に訪れるところはゲーム的な巧い部分。
あと「最後まで読んだけど分からなかったな」という部分は一切ない。
竜騎士07の悪いところは出てなかった。風呂敷を畳みきった。
逆に言えば風呂敷をそこまで広げなかったので、「ひぐらし」「うみねこ」のような”熱さ”はなかった。
竜騎士07入門編、という感じ。
もうちょっと頑張ってほしかった部分
キャラの「怖い顔」「ゲス顔」が記号的で、イマイチ迫力がなかった。
風華の"人を見下すような顔"は彼女の性格が出ていて良かったかな?
この手の「殺し合い、疑い合い」みたいな話だと「日常描写」を先に見せておくのが効果的かと思うんだけど、12パターンのシナリオにそれぞれ含有される形なので「日常描写」が小出しであり、あまりキャラのことが分からない段階から豹変する様を見せられるので、あまり落差を感じられずに味わい薄かった。
これに関しては昨今の「最序盤で読者を魅了しないといけない」風潮に引きずられたかな? と思う。このゲームはコンシューマでいい値段するから、読まない人はそもそも買わないと思うんだよなあ。
総括
12パターンのシナリオをプレイヤー任意の順番で読んでいくゲームなので、区切りを付けやすくて読みやすい、良いADVだと思う。
誰が誰を憎悪しているかとか、何故憎悪することになったのか、などの背景が段々分かっていくのが面白い。
竜騎士07の「性悪説キャラメイク」が活きており、ドロドロした話を読みたい人にはオススメできる一品。
プレイ後はスッキリ終わるので考察の余地はないため、ちょっと寄り道する気持ちでプレイするのに向いている。