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都市伝説か、猟奇殺人か「ファミコン探偵倶楽部 笑み男」

Switchで6000円くらい。なんとカタログチケットが使える。
ファミコン時代の2作品は数年前にリメイク済みで、今作は事実上35年ぶりのシリーズ新作となる。

プレイ時間は10時間くらい。


真ん中の少年が主人公の探偵くん(CV緒方恵美)

あらすじ

香福市内で、男子中学生の死体が発見された。
その死体は奇妙な「笑顔の紙袋」を被せられており、
18年前に発生した未解決事件「連続少女殺人事件」を想起させるものだった。
一方、都市伝説「えみお」との関連も否定できない状況にありーー

システム

使うボタンが少ないアドベンチャー。
ファミコン時代と変わらず、画面に表示されているコマンドから適切なものを十字キーで選択してAボタンで選ぶ。
人との会話も、話の流れに合わせて適切な質問の仕方を求められたり、
一口に「見せる」といっても、写真を見せることもあれば男気を見せることだってあるのだ。

難易度

大きくは一本道だが、前述のシステムのせいでやや難しめ。
とはいえ前作ほど何をしていいか分からないということもなく、迷ったら「考える」ことで次に何をすべきか考えてくれる。

雰囲気

怪奇殺人、都市伝説、失踪者、それを追う者……
様々な要素が絡み合って事件は複雑な面持ちを見せる。
ギャグっぽいパートは減り、……いや1名ほど存在がギャグみたいな熱血教師がいるが、地道な聞き込みや推理など、探偵稼業を楽しめる。

途中までは。

感想

尻スボミー。
探偵に探偵の大一番をさせてくれないならどうして探偵モノとして作ったんだ!
笑子ママのあたりまでは最高に面白かったのだけど、重大な情報を握った先生が帰ってくる前に事件が強制終了してしまって不完全燃焼。
私情を優先した汚職刑事が結婚して幸せになりました、というのも納得がいかないんだよねえ。
ミスリードの置きどころや誠まわりのロジックは悪くないんだけど、帳尻の合わせ方が悪い。
このゲームを作る際に出たロジックの歪みを一手に引き受ける、そのためだけに根源たる「彼」が誕生してしまったようにすら思える。

うーん、やっぱり18年前の事件にフォーカスした割にそこの調査が十分行えなかったのがよくなかったのかなあ。
情報を整理する前に最終局面に突入してしまったのが悪いのか?
とりあえず先生が帰ってくるのを待つか~という気分になってしまったのが良くなかったのか。
あとは、最後の場面に主人公がいた意味/Zeroなのもバッド。むしろ無辜の民すら手にかけようというあたりで彼女の印象がマイナスに振り切れた。
神原刑事と喧嘩した時点で主人公の役割が終わっていたのがやはり悲しいな。

「うしろに立つ少女」のような印象的な場面がないのも、「消えた後継者」のような意外性のある犯人がいないのもあって、本作の評価は30点といったところ。
ロジックの破綻だけは起こすまいと、真犯人の素性を説明するためにアニメを1本用意したその気概だけは評価してもいい。
いや、そこまで設定練ったんなら本編にちゃんと組み込みなさいよ。