フットボール×時間地理学 ~新しいフットボールとの関わり~
2022年6月8日フットボールと全く異なる分野に思われる地理学との関わりについて、自身の考えを記す。
・時間地理学(time-geography)とは
『生活行動を空間と時間の広がりにおける軌跡として描き出し、その分析を通して、社会生活を個人や社会を取り巻く環境から論じるアプローチのことである。
「人間は絶えず動き回るため地図による表現は不正確であり、時空間座標で表現されるのが望ましい」という考えのもと生み出された手法…』
(Wikipediaより)
つまり、超簡単にいえば、普通の平面地図に「時間」という概念をつけ足して、人の行動を地図に描きだそうという学問である。
・フットボールとの親和性
フットボールの構成要素として、その試合に限定するならば、規定されたサイズのコートとボール、11人×2チームの22人の選手がピッチ上に存在している。
これを時間地理学的解釈すると、
1試合90分間のなかで選手は絶えず動き回るため作戦ボードによる表現は
不十分ではないか?という問いが生まれる。
多くのチームで作戦ボードを用いた作戦会議が行われているが、時間地理学の知見からは、まだ改善の余地があるのだ。
・戦術のトレンドと時間地理学
現在、欧州フットボール界では、ペップ・シティが体現するポジショナルプレーと、それに対抗するクロップ・リバプールが標榜するストーミング戦術の2つが大きなトレンドとして席巻している。
これまで、前者は空間を司り、後者は時間を司る戦術と解釈されてきた。
しかし近年、ポジショナルプレーにストーミング戦術の要素が取り入れられ、逆にストーミング戦術にはポジショナルプレーの要素が取り込まれつつある。
その様な混然とした戦術を理解するためにも、時間と空間の両方を内包した時間地理学は有用なのである。
・まとめ
時間地理学はフットボールの戦術を理解するうえで非常に有用であると考える。
今後、時間地理学に限らず様々な分野の学問がフットボールに関わっていくことで、フットボールの切り口が増え、より文化としての厚みが増すことを期待する。