多文化共生についての質問【過去令和元年10月】

こんにちは!

台東区議会議員 本目さよ(ほんめさよ)です。

過去に質問をしていた多文化共生について、noteにも載せておきます。


本目の質問

多文化共生について伺います。
 台東区在住の外国人の割合は、23区でも新宿区、港区、荒川区、豊島区に次いで5位でありますが、目立って多文化共生の政策が先進的であるわけではありません。ことしの10月1日現在で20万1,749人のうち1万5,650人が外国人であり、7.7%の割合となります。また、国のほうでも入国管理法が改正され、外国人労働者がふえる可能性があります。国では法改正がされたものの、日本語教育や彼らの生活についてのサポートは、現状では自治体が実施していかなければなりません。多文化共生については、これまでは各部署でそれぞれ個別に対応をしてきており、組織的でなかったように感じますが、それでは済まない状況が迫ってきています。現状をまず行政全体として共有し、理解していただく必要があります。
 私の友人がドイツで日本語教師として働いています。その友人から、帯同したパートナーに対してもしっかりとしたドイツ語教育を国が実施してくれているという話を聞きました。日本との差に驚くばかりです。多文化共生については、行政計画において、多文化共生推進に向けたガイドラインの策定が令和2年度に実施となっています。しかし、ガイドラインを来年度策定ということになると、実際に予算がついて事業が動き出すのは再来年度からとなり、オリンピックでさえ終了している状態で、多文化共生についてしっかりと取り組み始めることになります。
 現在、区民との協働事業の中で、リトルジャパンでの外国人とまちをつなげるコミュニティースペースづくりや、子供たちが映画制作を通じて多文化共生について学ぶプロジェクトで、11月4日にその上映会が行われる予定であることは承知していますが、余りに遅いのではないでしょうか。来年度から、すぐにでもできることから始めていくべきと考えます。
 在住外国人がまずぶつかるのが、言葉の壁です。審議の中でも、くらしの相談課で通訳のタブレットを各課に貸し出ししている件数や、どの課で貸し出しをしているかを伺いました。年々利用件数がふえていることは、制度の周知が進んでいることもさりながら、必要とする場面がふえているからではないでしょうか。区民の方からも、保育園の申請のときに言葉が通じなくて困っている保護者がいたので、どうにかならないかというお話も伺ったことがあります。恐らくその後、担当課がタブレットによる通訳を実施したのではないかとは思いますが、わざわざ1階までとりに行くのには少しだけ手間がかかるのではないでしょうか。保健所でも、各保健所に1台ずつ通訳のためのタブレットを用意していると聞いています。各所管で困ったときには、私物のスマートフォンやタブレットの通訳ソフトを利用して外国人とのコミュニケーションを図ろうとしている例もあるのではないかと思います。また、学校に対する通訳の派遣も実施していると聞きましたが、年に数回しか利用できなかったり、あらかじめ準備が必要だったりする場合、突発的なトラブルや伝えたいこと、また、日常の保護者会や子供の持ち物などを伝えるときになかなか難しい場面が多くあるのではないかと推測されます。
 さらに、子ども家庭支援センターや児童館、保育園などでも言語の壁を乗り越えるためのツールが必要ではないでしょうか。そこで、当面の言語の通じなさを解消するために、各窓口や学校園にAI型通訳機などを導入してコミュニケーションロスを減少させるべきと考えますが、区長にご所見を伺います。
 次に、在住外国人児童・生徒の日本語教育について伺います。
 日本語教育の推進に関する法律が、ことしの6月に施行されました。日本に入国してきたときにしっかりとした日本語教育を受けることができず、日本の社会の中で生活できないことにより治安の悪化を招いてしまうことや、将来の社会保障にまで影響を与える可能性も考えられます。言語の壁を乗り越えることができ、社会の一員として子供たちが活躍してくれるということは、その子たちにとっても台東区にとってもプラスしかありません。だからこそ、非常に重要な取り組みだと考えます。本来ならば、法改正をした国が主体的に取り組んでほしいと考えますが、動きが遅いため、区でできることから取り組む必要があります。
 現在、台東区では在住外国籍の児童・生徒に対して日本語講師の派遣をしていますが、通級がありません。習うよりなれろというような形で進めていくことも重要ではありますが、母語ではない日本語の習得には時間がかかります。秋間委員の質疑でもありましたが、学齢期の年齢に相当する外国籍児童・生徒について、約半数しか区立小学校、中学校に行っていない状況に対して、そのほかの方がインターナショナルスクール等に通ってくれていればいいのですが、そうでない場合が心配ではあります。各外国語の案内を出すことで就学状況の把握に努めるとの答弁もありましたので、少し安心しましたが、ぜひ区立学校以外の対象児童についても、その実態の把握に早目に努めていただきたいと思います。
 墨田区では、錦糸小学校内で日本語学級を実施しており、特に中学生が高校進学できるレベルの日本語を身につけられるようにという指導をしているそうです。実際に視察に伺わせていただきました。台東区でも、通級形式の日本語学級の検討をする時期に来ているのではないでしょうか。日常生活に困らない程度の日本語を身につけるだけではなく、外国人児童・生徒が日本語で学習に参加するための学ぶ力を育成する必要があると考えます。今ある体制の充実だけではなく、現在の外国人児童・生徒に対する日本語教育を再検証した上で、さらに適切な策を実施していくべきではないでしょうか。教育長のご所見を伺います。
 ここまで多文化共生の各所管の事業や入り口である言語対応について述べてきましたが、台東区として多文化共生のガイドラインのみならず、区の体制の見直しから始めるべきです。現在は区民課協働・多文化共生係で多文化共生の事業を担当していますが、協働だけでも台東区にとって非常に重要なポジションであるにもかかわらず、課でもなく係で、さらに協働と多文化共生の両方を合わせた係であることで、できることがマンパワー的にも限られています。多文化共生についての重要性を鑑み、多文化共生課の検討もするべきだと私は考えますが、まずは、早急に庁内を横断した多文化共生の推進体制の整備を進めていくべきではないでしょうか。区長のご所見を伺います。
 新宿区のしんじゅく多文化共生プラザに視察に伺いましたが、そこでは外国人と日本人の交流の拠点となっており、生活に必要な情報を多言語で提供したり、相談に応じたりしています。困ったら、ここに行けばいいというような場所になっており、新宿区では多文化共生にかかわれ、また区内団体のネットワークも支援、構築がされています。新宿区は先進区過ぎて、到底追いつかないという部分もあるんですけれども、まねをできるところはまねをしながら、積極的に取り組みを進めていただきたいと思います。



◎服部征夫 区長からの答弁


 ご質問にお答えいたします。
 まず、言語の壁の解消についてです。
 地域で暮らす外国人が増加していく中、区では、各窓口において多言語で対応するために、タブレット端末による通訳サービスを活用しております。さらに児童館での外国人の保護者との情報交換や民泊対応等で多言語音声通訳機の活用を図っているところです。今後も地域で暮らす外国人の増加が見込まれており、区の窓口等における多言語対応を一層強化していくことが必要となっています。そのため、さまざまな機器の導入も含めて検討し、窓口等における外国人との円滑なコミュニケーションを図ってまいります。
 次に、推進体制の整備についてです。
 多文化共生の推進は、在住外国人とともに言語や文化などの違いを相互に理解、尊重し合い、誰もが地域社会の一員として活躍することを目的としていることから、全庁的な取り組みが必要であると認識しています。そのため、まずは横断的な検討組織を設置し、来年度に予定している多文化共生推進プランの策定を進めてまいります。さらに、この組織を活用して施策の進捗管理を行い、多文化共生の地域社会の形成を図ってまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長がお答えいたします。


 教育長からの答弁


 ご質問にお答えさせていただきます。
 現在、日本語指導講師の派遣では、まず、日本での学校生活を送る上で必要となる生活言語の習得に向けた指導を行っております。また、個々の児童・生徒が日本語で学習に参加していくために、学習言語の習得がどの程度必要かを十分に把握し、日本語指導での学習が通常の授業で生かせるように指導をしております。さらに学校の教科書自体を日本語教材として活用をしており、教科学習の理解促進や学力定着にもつなげているところでございます。
 教育委員会といたしましては、日本語指導講師の有効活用はもとより、対象児童・生徒の学習上の悩みが解消できるよう指導内容の見直しや充実を図り、学校長と協議した上で、必要に応じた派遣延長を行っております。また、外国人児童・生徒にとってよりよい学習環境となるよう、さまざまな取り組みなどを参考に、引き続き研究し、外国人児童・生徒に対する日本語教育の充実に努めてまいります。

答弁に関する本目のコメント


ありがとうございます。今回は窓口、また教育組織について質問をさせていただきましたが、このほかにも防災、戸籍住民、ごみ、子ども家庭支援センターや生活保護、女性相談など、本当に多岐にわたる対応が必要になってきます。今回は絞って質問をしましたが、区として、外国人住民との共生に関して、しっかりと取り組みを進めていかなければなりません。区としても基本構想や基本計画の中にもしっかりと多文化共生の理念を掲げていますので、これからもふえるであろう外国人人口、そして、外国人だけではありませんが、さまざまなバックグラウンドを持った人々が共生できる台東区を目指していくために、しっかりと全庁で連携していただくことをお願いします。
 また、多様な人々がその違いを認め合いながら、楽しみながら生きていける、そんな社会になることを目指して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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