BRICSとグローバル金融の進化：なぜブロックチェーン決済システムが進むのか Part 2
Modern Diplomacy
Tuhu Nugraha
2023年8月25日
元記事はこちら。
前編では、BRICS諸国におけるブロックチェーン・ベースの国際決済システムの実現可能性について検討し、BRICS統一通貨よりも現実的なアプローチであると結論づけた。
そこで今回の後編では、このビジョンを実現するために必要なステップを掘り下げていく。
今日のデジタル時代において、ブロックチェーンは決済システムを含む様々な分野に革命をもたらすと期待されている。
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成されるBRICSは、このテクノロジーを活用して経済協力を強化する可能性を秘めている。
ここでは、BRICSのためのグローバルなブロックチェーンベースの決済システム構築のための推奨ロードマップを紹介する：
分散化：ブロックチェーンの中核をなす分散化は、システムの安全性と回復力を保証する。このモデルを通じて、取引は世界中に散らばる複数の独立した当事者によって検証される。これは、より平等主義的なエコシステムを生み出すだけでなく、西側が支配する世界秩序に代わるものを提供するというBRICSの願望にも合致する。
BRICSトークン：戦略的な最初の一歩は、このシステム内での取引用に特定の暗号通貨トークンを創設することだろう。このトークンは、単なる交換媒体を超越している。価値のベンチマークであり、富の貯蔵庫であり、米ドルのような支配的通貨への依存を減らす国際取引ツールでもある。このトークンによって、BRICSは加盟国間の経済統合を強化できるだけでなく、国際取引における自治を強化することができ、これらはすべてブロックチェーン技術が提供する透明性とセキュリティに支えられている。
取引スピード：デジタルの世界では、取引スピードが最も重要である。そのため、ブロックチェーンを利用した決済システムは、膨大な取引量を迅速に処理できるように設計されていなければならない。Proof of Stake（PoS）のようなコンセンサスモデルは、計算能力ではなく、個人が保有する暗号通貨の量に基づいて取引を検証することで、効率的なソリューションを提示する。これにより、エネルギー消費が削減され、トランザクションの検証が迅速化され、迅速な完了が保証されるため、ユーザーの信頼と利便性が促進される。
相互運用性：広く受け入れられるためには、システムは他のブロックチェーンや従来の決済システムと容易に統合可能でなければならない。これにより、大量導入が促進され、送金コストの削減とプロセスの迅速化という価値提案が可能となる。
セキュリティ：サイバー脅威が絶え間なく迫ってくる時代には、ハイグレードな暗号化と、マルチシグネチャ・ウォレットのような他のセキュリティ・メカニズムとの組み合わせが不可欠となる。特に、高度で持続的なサイバー脅威が存在する時代においては、セキュリティはデジタル決済システムの要です。高度な暗号化により、保存および転送されたデータは外部の脅威から保護されます。これはデジタル南京錠のように機能し、特定のキーでのみ解除可能で、データの機密性を保護します。さらに、マルチシグネチャ・ウォレットは、取引を進める前に複数の検証を要求することで、セキュリティ層を強化している。こうすることで、仮に1つの鍵が漏洩したとしても、他の鍵保持者の承認がなければ取引はできない。これらの方法を組み合わせることで、ユーザーはより強固なセキュリティ保証を得ることができ、潜在的なリスクから資産やデータを守ることができる。
規制とコンプライアンス：BRICS諸国の金融規制当局と協力することで、コンプライアンスと政府のサポートが保証される。この連携により、決済システムが各加盟国の法律や規制に準拠していることが保証されます。これにより、運用の合法性が確保されるだけでなく、利用者やその他の利害関係者の信頼も確立される。政府の承認が得られれば、法的リスクは減少し、伝統的な金融機関や一般市民によるシステムの導入が促進される。コンプライアンスはまた、消費者保護、システムの完全性、マネーロンダリングやテロ資金供与のような違法行為の防止を保証する。このように、ブロックチェーンに基づく決済システムが国際的な舞台で成功し、持続可能なものとなるためには、現地の規制当局や政府との緊密な協力が戦略的に極めて重要なのである。
教育：一般市民や関係者の意識を高めるためには、教育キャンペーンが不可欠である。特に暗号やブロックチェーンの世界では、まだ馴染みがないと感じる人も多い。教育キャンペーンを通じて、一般市民や関係者はブロックチェーンベースの決済システムに関連する基本原則、メリット、リスクを把握することができる。このようなキャンペーンは、セミナー、ウェビナー、ワークショップ、あるいはビデオや記事のようなデジタルコンテンツの形をとることができます。効果的な教育により、誤解を減らし、ユーザーに十分な情報を提供し、最終的に信頼を高めて、システムの幅広い普及を支援することができます。
他のサービスとの統合：暗号取引所や銀行など、他のプラットフォームとの容易な統合は、普及を促進する。この統合はブロックチェーンベースの決済システムの発展にとって極めて重要である。相互に接続され、デジタル化された今日のグローバルな状況において、プラットフォームが他者と連携し、接続する能力は不可欠である。例えば、決済システムを暗号取引所と統合することで、ユーザーは暗号を不換紙幣に簡単に変換したり、その逆も可能になる。さらに、銀行や従来の金融機関との統合により、暗号と従来の金融の世界をシームレスに移行することができ、ユーザーの信頼と信用を高めることができる。
可用性：グローバルなシステムであるため、24時間365日のアクセスが不可欠である。今日のデジタル時代、特にBRICSのようなグローバルに展開するプラットフォームにとって、継続的な可用性は、従来の銀行の営業時間にとらわれず、いつでも取引ができることを保証する。これは、特に異なるタイムゾーンをまたいで取引を行うユーザーにとって、非常に優れた柔軟性を提供する。さらに、24時間利用可能であることは、システムの回復力と信頼性を象徴する。
上記のような推奨事項に従って決済システムを構築すれば、効率性が高まるだけでなく、利用者の信頼も高まる。
適切なアプローチにより、BRICSはブロックチェーンに基づく世界的な金融進化のリーダーとして自らを位置づけることができる。これを実現することで、BRICSは今日のグローバル金融業界にとって待望のソリューション・プロバイダーとして位置づけられるだろう。国境を越えた貿易は、より効率的に、より迅速に、より安く、より安全になる。
反面、このシステムは金融包摂を後押しする。ブロックチェーン・システムの利点のひとつは、従来型の銀行システムでは対応できなかった人々も取り込める可能性があることだ。
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