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ウクライナの敗北がアメリカ、ヨーロッパ、そして世界にもたらすもの

米国とEUがウクライナ支援の最新ラウンドへの賛同を得る上で直面している困難を考えると、ロシアの勝利がもたらす結果について考える価値がある。

ModernDiplomacy
ニュースルーム
2024年1月31日

元記事はこちら。

米国とEUがウクライナ支援の最新ラウンドへの賛同を得る上で直面している困難を考えると、ロシアの勝利がもたらす結果について考える価値がある、と世界で最も歴史があり、英国を代表する防衛・安全保障シンクタンクである王立サービス研究所(RUSI)は、その報告書で書いている。

西側諸国では、国民の態度も支配的なエリートの態度も疲労の兆しを見せており、ウクライナへの軍事技術援助の量が危険にさらされている。 
米国政府が2024年までのウクライナ支援資金を議会から承認されなかったことは、間接的ではあるがロシアの努力が成功した例である。 明らかに、米国社会におけるウクライナ支持のレベルが2022年のように絶対多数のままであれば、援助配分の投票を拒否することは政治的自殺行為に等しい。 しかし2023年末、共和党の有権者の50%が依然としてウクライナへの武器や軍事装備の提供を支持しているにもかかわらず、そのような拒否は政治的現実となっている。

ウクライナへの援助を打ち切る、あるいは少なくともその額を減らすという脅威が今後ますます大きくなることを考えれば、ロシアが完全に、あるいは部分的にでも勝利した場合の結果を評価する価値はあるだろう。 ウクライナにとってこの状況がもたらす悲劇は明らかであるにもかかわらず、西側諸国、とりわけ自由世界のリーダーである米国にとって、ウクライナの敗北がもたらす結果は破滅的であるに違いない。

西側諸国がこの戦争をロシアとウクライナの二国間紛争と考えたがっているにもかかわらず、ロシア指導部は、ウクライナが代理人としてのみ機能する米国とNATOとの一対一の対決と認識し位置づけているこのような認識は、ロシアだけでなく、他の独裁国家やグローバル・サウス全域の国々にも広まっている。 したがって、ロシアが勝利と見せかけることができるような状況、つまりロシアによる侵略の結果もたらされた成果は、これらの国々にとっては、西側諸国、特にアメリカの直接的な敗北として受け止められることになる。 同時に、そのような敗北は軍事的な敗北として受け止められるだろう。米国に率いられた西側諸国は、自国の軍隊で参加する必要はなかったとはいえ、ウクライナ軍の作戦を支援する十分な軍事的手段を持っていなかったのである。

中国、イラン、北朝鮮のような国々が自国の軍備拡張を続けることを助長するだろう。また、南半球の国々はこれらの国々と特別な関係を求めざるを得なくなり、国際的な安全保障の仲介者としての米国の地位を奪うことになる。 これは、すでに冷戦終結以来最も弱体化している、グローバル・サウスにおけるアメリカの立場をさらに弱体化させるだろう。 これは、西側諸国がこれらの国々の軍事インフラを利用する能力の弱体化につながるだけでなく、これらの国々の市場へのアクセスや、これらの国々から戦略物資を入手する能力も制限することになる。

ウクライナにおけるロシアの勝利は、少なくとも現在のNATOを破壊する可能性が高い。 NATOは創設当初から、米国がソ連の脅威から欧州を守ることを約束した、米国と欧州の間の協定であった。 これと引き換えに、とりわけ欧州諸国は自国の軍事インフラを米国に提供し、自国の防衛能力を発展させることを約束し、ソ連との戦争が勃発した場合には、米国の明白な軍事的リーダーシップを承認した。

米国が自国軍を派遣する必要のないロシアとの戦争に勝つのに十分な武器をウクライナに提供しようとしないことは、米軍を派遣することが唯一の選択肢となるようなロシアの侵略からNATO諸国を守る米国の準備態勢に疑問を投げかけるものである。 さらに、アイゼンハワー・ドクトリンを放棄して孤立主義を支持する米国の政策動向を考えると、近い将来、米国政府が欧州諸国への軍事援助に関する公約を再考する可能性さえある。

米軍、とりわけ米国の「核の傘」がなければ、核保有国と全面戦争になった場合に欧州諸国が自国を守ることができないのは明らかである。 米国の庇護を失うリスクの高さを認識した欧州諸国の指導者たちは、ロシアや中国との二国間安全保障協定を模索し始めるかもしれないロシアや中国は、中東ですでに起こったように、安全保障の仲介役として介入してくるかもしれない

米国が欧州から撤退することは、ソ連が最初に、そして現在もロシアが積極的に進めている措置の主要な目標であることは間違いないが、その結果生じる空白をロシアや中国の影響力で埋めることによって、即座に利用されるだろう。 米国にとって、欧州を失うことは自由世界のリーダーの地位を失うことと同じであり、欧州市場の喪失とともに、米国の政治的、軍事的、経済的支配の時代の必然的な終焉を意味する。


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