MADROCK SHARK3.0 レビュー
みんなが気になるあのシューズ
結構売れてるあのシューズ
クライミングシューズのレビューです
どんなシューズ?
アメリカのクライミングメーカー、マッドロックが今年2024年にリリースしたシューズ。アメリカ本国ではちょっと早く出回っていて、日本では4月の末ぐらいに出回り始めました。筆者は日本での発売日に購入したので、現在で1か月ぐらい履いています。
そも、元になったSHARK 2がどんな靴かというと、
広い足幅と大きいヒール
柔らかすぎず固すぎずのオールラウンドな性能
広いトゥラバー面積によるトゥフックのかかり
ホールドを選ぶがハマれば効くちょんまげヒール
あたりが主な特徴のシューズで、ド定番ではないけど好きな方は結構多いシューズという印象でした。
SHARK 3.0での変更点は主に
ヒールがDRONE等と似た段差ヒールに変更、縦掛けに対応した段差が新設
トゥラバーの形状が変更
トゥラバーの内側に調節用のパーツ(エクストラストラップ)を追加
前側のソールも一体成型に変更
などになります。
ざっくりどんな感じ?
まず、ざっくりと
オールラウンドに良い靴、しばらくジムはこれ一足でOKかも
というのが筆者の感想です。
ROCK AND SNOWのシューズレビュー風に各項目に点をつけると、
履きやすさ: ★★☆☆☆
足入れ: ★☆☆☆☆
足裏感覚: ★★☆☆☆
エッジング: ★★★☆☆
スメアリング: ★★★☆☆
トゥフック: ★★★★★
ヒールフック: ★★★★★
かき込み: ★★★★☆
です。
詳しくはどんな感じ?
ここから各項目に分けて解説していきます。
事前に自分の足型について述べておくと、
幅:広め(ドラゴはいけるがレグルスはキツイ)
ヒール:普通~やや小さめ(旧シャーマン、ファントムがベストフィット)
甲:普通(甲の高さでキツさ、余りを感じたことはほぼ無い)
という感じです。
履きやすさ・足入れ(+足型)
足入れはハッキリ言って最悪です。
トゥラバーが厚く面積が広いため足の入れ口が全然広がらない、ランド部分に芯が入っているらしく固い、内側素材の滑りが悪いという要素の重ね技で頗る足入れが悪いです。具体的には足入れの悪さに定評のあるフラッグシップの新品より悪いと思います。個人的には過去最悪でした。
「エクストラストラップで改善できないの?」と思うかもしれませんが、答えはノー、です。もともとの足入れが最悪なのでエクストラストラップは最も緩い状態で使用するしかありません。それでもなお足入れは悪いです。このストラップは靴がへたって剛性がなくなってから役に立つものなのかもしれません。
履きやすさ(ロクスノのこれがどういう意味なのか分かりませんが、足を入れてからどれだけの間履いていられるかと解釈しています)も結構悪いです。
幅やヒールに関しての問題はないのですが、とにかく土踏まずの持ち上げが強く、履いていると痛くなってきます。筆者は別段偏平足でもないと思うので、偏平足の方には特に厳しいかもしれません。
足型としては、幅広、甲は普通、ヒールは普通~やや大きめだと思います。
海外のレビュー(https://www.reddit.com/r/climbingshoes/comments/1buk3nb/madrock_shark_30_review_shocking/)でドローンなどよりヒールが大きいという旨のこと
が書いてあり、ビビっていたのですが筆者の足だとさほどヒールは大きく感じませんでした。筆者の踵は小さめですが幅はおそらく普通なので、幅の小さい方だと合わないのかもしれません。要試着。
エッジング
まあまあです。
個人的に良い部分として、芯が足裏だけでなくシャンクやその上側にも入っているっぽく、つま先に剛性感があります。
じゃあなんでまあまあなの?となりますが、つま先のダウントゥがしっかり入っており、緩傾斜でつま先の1点に全体重をかけるようなエッジングには向かないので、「エッジング」という一つだけの指標では微妙という評価になります。
より詳細に述べると、強傾斜でのエッジングは良好、緩傾斜でのエッジングはイマイチという感じです。
スメアリング
最初はイマイチやなと思っていましたが、結論としてはそこそこ行けます。
というのも、一般的にスメアの際に曲げる部分がこの靴は曲がりません。代わりに、つま先の三角形の根本が曲がります。この特性を理解していないうちは「妙に固くて使いづらいな」と思っていましたが、先端の三角形でスメアする意識をすると、割とやりやすくなりました。ライフハック。
あと、細かいことですが、トゥラバーの面積が広すぎてスメアするときにトゥラバーがつっかえる感覚があります。性能に極端な影響はないのかもしれませんがなんか気持ち悪いです。
トゥフック
クソでかいトゥラバーが張ってあるのでそりゃかかります。靴全体のダウントゥがないのもトゥフックに良いですね。
とはいえ、デザインと足入れを犠牲にしている割には革命的なかかりは得られていないかもしれません。
ヒールフック
最高です。カチなどに横掛けするヒールはもちろん、縦掛けでも滅茶苦茶にかかります。ヒール残置が怖くなるぐらいにかかります。
スローパーなどにフリクションでかけるヒールはイマイチですが、この長所の前には些事に過ぎません。
唯一、改善点としては縦掛けで若干脱げそうになる場合があります。ヒールテープで改善したいのですが、もともとの足入れが悪すぎて履けなくなる疑惑が。
かき込み
良いです。靴全体のダウントゥはないですがつま先がかぎ爪状になっているので、非常にかき込みやすいです。つま先に適度な剛性感があるのもGOOD。ソリューションみたいにオートで残る感じではありませんが、明らかに靴のせいで足が抜けるようなことはなく、信頼できると思います。
まとめると?
トゥとヒールのフックが最高で、エッジングもスメアもかき込みもこなせるオールラウンドシューズです。
幅広などの足型にも対応しているので、多くの方にお勧めできます。
ただし足入れは極悪なので、相応の覚悟をすることを推奨します。
サイズ感は?
筆者が履いているSHARK 3.0のサイズはUS6.5です。
他のシューズとしては、
DRAGO, BOOSTER S: EU38.5
FLAGSHIP: US7
REDLINE STRAP: US7
旧SHARMAN, PHANTOM: US7
などですので、普段履いているアメリカメーカーのUSサイズからハーフ下げが無難だと思います。
余談
一体成型のためリソールできないという疑惑がありますが、実際どうなんでしょうか?
似た構造のドローンCSはリソールの事例があるようなので、同様に期待したいところです。https://www.shoes-doctor.com/repair/?id=1706918793-350629&ca=