チェロ1本で弾く「ゴルトベルク変奏曲」_楽しすぎる北口大輔さんの偉業_2023年12月26日
去年に続き、今年もJ.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」をチェロ1本で演奏する演奏会に行って来ました!
チェロ独奏版に編曲したのは、北口大輔さん。
日本センチュリー交響楽団首席チェロ奏者であり、パシフィックフィルハーモニア東京(PPT)の客演ソロ首席チェロ奏者。さらに、世界で唯一「ゴルトベルク変奏曲」をチェロ1本で弾くことで知られる方です。
(会場にはチェリストの方もいらしていました)。
ピアニストがこの曲を演奏する場合は、「3声(歌のラインが3つあること)を1つの脳の中で完結」させているのですが、
「ゴルトベルク変奏曲を弦楽器で演奏する場合は、3人は必要」なのだそう。
3年がかりでチェロ独奏への編曲を終えて、2020年に発表してからも、北口さんは微調整をし続けて毎回ベストの演奏をしているそうです。
そして完成した楽譜は、2024年4月15日に発売になるそうです!
(翌16日は出版記念リサイタルとのこと)
「北口さんの頭の中って、どうなっているんだろろう?」
そう思いながら聴いた演奏は、とにかく楽しかったー--!
弦を抑える指の動きはまるでバレエのようで、時おり指板(ネック)に指が下りる瞬間に立つ音も演奏の一部だと実感しました。
たとえば第21変奏「7度のカノン」のように弦をピチカートで弾いたり、弾いていないはずの箇所でも和音を耳の中に響かせたり。
「チェロ1本で弾くなんて偉業!」ということはもちろんですが、それよりも
「ゴルトベルク変奏曲って、なんて楽しくて、気持よくて、美しい曲なんだろう」
という気持が溢れて、聴きながら踊り出したくてたまりませんでした(後ろに人がいなかったので、とくにアンコールのジャジーな編曲では小さく踊ってしまいました)。
実際に、チェロで「ゴルトベルク」を演奏している様はダンサブルにも見えて、目にも楽しかったです。
アリアに始まって、30の変奏曲を終えてまたアリアに戻るこの曲を聴いて、長い旅を終えたような気持ちになりました。
私の人生に音楽があることを、心から感謝します。
(そして1月4日発売の「サラサーテ」の巻頭特集は北口さんとのことで、会場にあった見本誌と一緒に写真を撮っていただきました! うれしいです!)