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「デビュー20周年 髙橋 望ピアノリサイタル」_2022年10月15日

「デビュー20周年 髙橋のぞむピアノリサイタル」に行ってきました。

演目は「バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻全曲」。
第13回園田高弘賞ピアノコンクール第3位、第2回G・ガンドルフィ国際ピアノコンクール(イタリア・パルマ)第2位などの経歴をもつ高橋さんが鍵盤に指を下ろすと、ピアノから透明な泉のような波紋が広がるのを感じました。白を基調としたホールの天井画の一部が空だった影響もあってか、波紋に映る抜けるような空や森の木々が、朝から夕暮れに、春から秋へと移り変わっていく様を眺めるかのように聴きました。

実際にはそんな経験がないはずなのに、2曲目(第2番ハ短調 BWV 847)で水面に映って見えた紅葉が、私がかつて赤ちゃんだった頃「母に抱えられながら見た光景だ」と思い出して、美しさと郷愁に涙が滲みました。

髙橋さんがデビューから歩んできた20年という月日の厚さを演奏に感じながら、3曲目(第3番嬰ハ長調 BWV 848)からは、気づけば自分の過去20年を朧げに振り返っており、音に重ねて味わっていました。髙橋さんの音は私にとって、肯定しながらも励ましてくれるような感触。スタッカートが楽しくて、聴いているうちに、この先の20年間にも思いを馳せて胸が躍っていました。

今回も遅刻寸前……。駅でタクシーが拾えなかったので、体幹を意識したキレのある走りで(嘘)、なんとか開演ギリギリ間に合いました!

休憩を挟んだ後半では、最初に演奏された曲「第13番」(BWV 858)から、弾けるような閃きがいたるところで起こっている感触があり、皮膚の内側で移ろう景色を眺めながら、終始わくわく。

よく晴れた秋の週末に、穏やかに心が整う時間を持てたことに感謝します。

会場であったトーキョーコンサーツラボは、早稲田のキリスト教会の一角。結婚式も執り行われる美しい場所でした。

ききみみ日記】というマガジンを作り、ここ数年のオペラ・クラシック演奏会の感想を毎日UPしています。
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https://note.com/hommaayako/m/m7aa722ae8434


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