神回!!!_三遊亭兼好さんの芸歴二十五周年記念公演「まるっと兼好」_2023年10月25日
二つ目時代から大ッッッ好きな噺家、三遊亭兼好さんの芸歴二十五周年記念公演「まるっと兼好」に行ってまいりました!
ゲストも大ッッッ好きな噺家、柳家喬太郎さん。つまり、私にとっての神回です!!!
(ちなみに3年前の同じ日も、かめありりりおホールでお二人の落語を聞いていました)
さて、兼好さんの一噺目「のめる」は、友達同士の2人が自分のよくない口癖を言わないように我慢するという噺。主人公は相手に言わせて罰金の1円をせしめようと、ご隠居の知恵を借りてあれこれ画策するも、どうにも自分が抜けている。
この噺はもしかすると、三遊亭まんとさんによる開口一番、「狸の鯉」を受けて、相手を化かす噺を選んで高座にかけたのかもしれません。
登場人物によって声はもちろん、骨格を含めた姿形まで別人に見えてしまう兼好さんの落語が私も大好きです。
主人公は軽くてチャーミングな町っ子で、友達はがっしりした体形で顔かたちまでありありと浮かぶ。貫禄のあるご隠居も。
この噺に女性は出てきませんが、兼好さんの演じる女性もまた素敵。
清潔な艶があったり、ふてぶてしさの中に可愛らしさがあったりするのです。
喬太郎さんの一噺目「銭湯の節」は新作で、なんとも味わい深い人情噺。入社後3年が経っためぐちゃんが、お婆ちゃんに何かプレゼントしたいと言い出します。
お婆ちゃんが娘時代に出来なかった
「銭湯で男湯から聞こえてくる義太夫に合いの手を入れてみたい」
という夢を叶えようと奮起するが……!?
詳しく書くのは控えますが、これ、最高にいい噺です! ゲラゲラ笑って、嗚咽を堪えるほど涙が溢れました。
喬太郎さんのお得意の女の子の口調と、さすが芸が細かい柳家! と膝を打ちたくなるほどの義太夫を聴くことができました。
トリの兼好さんの「三枚起請」は、「年期が明けたら貴方と結婚します」という起請文を花魁にもらって喜ぶ青年と、彼の夜遊びをたしなめる棟梁、そしておしゃべり清右ヱ門(?)の3人が登場人物。実は3人とも同じ起請文を持っていて、騙した花魁を訪ねていく噺。
おしゃべり清さんが
「自分の起請文だけは本物だ、なぜなら20両という大金を貸しているのだから!」
と二人に語る部分が、全編通して義太夫になっていたのは、喬太郎さんの噺を受けての演出だと思いました。
だって、私がこれまで聞いてきた「三枚起請」は、
「20両どころか、5両もありゃあしねえのよ」の部分が芝居口調で、回想の最後に「チチン」と言って棟梁に突っ込まれるだけでしたから。
感想はといえば、言葉が溢れてとまらなくなりそうなほどの「神回」でした!
全ての噺がとにかく小気味よくて、あたたかくて、唸るほど技術が高い(生意気を言って恐縮です)。
私は兼好さんと喬太郎さんのファンでよかったなぁ、としみじみ感じました。
ちなみに9月の下旬にも兼好さんと古今亭菊之丞さんの二人会に行ってきました。もうね、大好きなのです!
※サムネ写真は、BSフジさんの公式ウェブサイトよりお借りしました。