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勝ち犬
数年前からずっとやりたかった「顔タイプ・パーソナルカラー・骨格診断」。
興味はあるものの金額の高さにおののいて、なかなか予約ができずにやり過ごしていたある日、一時帰国していた幼馴染が誘ってくれた。
もうすぐ帰っちゃうし、仕方がないな~と心の中でブツブツ文句を垂らしつつ、
にこにこ重い腰を上げて行くことにした。高すぎる~と思いながらもずっと診断当日を楽しみにしていた。
そして迎えた診断日。
お気に入りのタボっとした犬のトレーナーに、大きめのモッズコート、ジーンズを装い、最近の一張羅で出かけた。
繁華街にある雑居ビル上階の診断会場に着くと、外の喧騒が信じられない真っ白い部屋が広がっていた。少し待つと診断士、マコさんが現れた。
特段変わった服装や化粧をしているわけではないのに、おしゃれで容姿のチャームポイントが際立っていた。恐らく自分のタイプに当った格好をしているからだろう。
そんなマコさんは、はじめに「顔タイプ・パーソナルカラー・骨格、この3点を知っていれば ”最強” になれます」と微笑みかけてくれ、段取りよく診断を進めてくれた。
顔タイプ、パーソナルカラーを終え、最後に骨格タイプ診断が始まった。顔タイプとパーソナルカラーはなんとなく予想していた結果通りの診断をされたので、骨格診断も恐らく外れないだろうと踏んでいた。
触診が終わると、マコさんは私の犬トレーナーを見ながら、
「インナーぐらいタイトなものが似合う体型なので、すごく可愛いですけど、その犬はいらないですね~。」と言い放った。
一張羅だったのもあって、心にグサリと刺さったが、最強になるためなら犬を手放すしかないようだ。自信を持ってオーバーサイズを着込んでいた私は完全に負け犬である。
全ての診断が終わった後、そのまま2人で別の友達が待つ居酒屋へ向かった。
それぞれの診断結果や完全に負け犬だった話をつまみに飲み食べしていたら、あっとゆう間にどっぷり夜になっていた。
お店を出る前にトイレに行っておこうと、お店の奥を進むとすれ違った店員さんが笑顔でこちらを見て、「その犬のトレーナー、とっっても可愛いですね!!よく似合ってます!!」とちゃきちゃき褒めてくれた。
それから数ヶ月経った今日の一張羅も、相変わらず犬のトレーナーのままだ。