見出し画像

yhs「四谷美談」みてきた/noteの機能を使いこなせない30歳女



札幌公演 2024年11月29日 夜の回を観劇。

2013年の初演、2018年の再演を経て、再再演の今回。
3回とも劇場で観られるなんてラッキーすぎる。
情報解禁と共に「あの役やあの役はだれがやるのかな?」とか観劇日まですごく待ち遠しくてワクワクした。
yhs作品自体もかなり久しぶりで、月末最後の就労を終えて劇場へ向かう足取りはとても軽かった。

以下ネタバレ有り。

何回も見てるからオチは知ってるはずなのに「あれっ、こんな話だっけwww結構忘れてんな!」とめちゃくちゃ思った。

キャラクターごとに振り返ろうと思うけど、役名はカタカナだったり漢字だったり、役者名(敬称略)は漢字だったりひらがなで表記すると思う。


・ホテルマン(宮下諒平)
伊右衛門の義父・9代目の一周忌法要が行われたホテルのスタッフ。
有名人目の前にしたらウハウハするのめっちゃ分かる。宅悦とのコミカルなやりとりも面白かった。

・看護師(てん)
喜依が整形するクリニックのスタッフ。コミカルシーンに花を添える。医者と例の歌を軽やかに歌っていたのが印象的。速報を冷静に読み上げていたのも彼女だったのね。

・医者(向山康貴)
喜依の整形外科医。ヘリで来ちゃう。
YES!イエスにつきる。過去二回とも違う役者さんが演じたキャラクターだけど、彼が一番YESだった。YES。

・梅(岡田怜奈)
伊右衛門のマネージャーであり妹。梅は優しい。本当に優しい。優しいし頑張り屋さんだしあの世で報われて欲しいと毎度思う。
岡田さんのお芝居は初めて拝見したが兄を思う言葉や仕草にただただ惚れた。こちらも過去二回違う役者さんが演じているがまた岡田さんの梅が観たい。SNSの住人として「北海道の雪舐めんなー!」って叫んでいたのも岡田さんかな?

・槙(小島彩歌)
小さな芸能事務所のマネージャー。喜依の右腕であり、幸せになって欲しいと毎度思うキャラクター。 裏の仕事の顔も持っており、常にスマホを2つ所持。
小島さんは数年前にとあるワークショップ公演で拝見したことがあってとても上手なお芝居されると思ったのでyhs入団を知った時「そりゃそうだな」と納得。劇団ならではのコミカルなやりとりも颯爽とこなし素晴らしかった。


・喜依(青木玖璃子)
小さな芸能事務所の社長。槙を愛してやまない喜依は愛されたい為に整形を繰り返すキャラクター。
喜依は玖璃子さんのハマり役すぎて今回も観ることができて嬉しかった。玖璃子さんの役作りはどの作品でも毎回ストイックで、本番前にSNSへアップしているおちゃめな動画とのギャップで毎回惚れている。
公演自体の宣伝も積極的にされており、実は本記事のキャラクター名等は玖璃子さんのX投稿からかなり参考にしている…。ありがとうございます🙇‍♀️
Xのリンクを貼りたいが上手くできない。すみません、しゅん。


・宅悦(小原アルト)
伊右衛門の義父9代目の按摩。祝を幼い頃から知っている。公表されている9代目の最期について疑問を持っている。
再再演を知って、プレイヤーのラインナップから宅悦は一体誰が演じるのだろうと気になっていた。今までの客演ベテラン役者さん方も彩りを添えていたと思うが、アルトさんの宅悦も迫力があり素晴らしかった。アルトさんのnoteによると、宅悦を演じたいと演出家に直談判し本当に目を瞑って見えない世界で演じていたということ。すごすぎる。
実はアルトさんのnoteを読んでこの記事をいつか書けたら良いなと思っていたので念願叶って嬉しい。
今度はリンク記事上手く貼れるだろうか。

たぶんできた。観劇された方はぜひ読んでほしい。


・紬(小西麻里菜)
元ヅカ女優で与茂七の妻。元男役らしくボーイッシュな面もありつつガーリーでエレガントな雰囲気が魅力的。直助と発散した後、与茂七に心身共に傷つけられてしまう。残された世界で誰からも邪魔されず新しい人生を幸せに送って欲しい。SNSの住人を演じている時は非常にキュートで彼女の出勤が待ち遠しくなった。そのギャップがたまらない。
小西さんのお芝居も初めて拝見した。yhs作品には珍しいタイプの役者さんだと思うが、素敵な声質や細身のスタイルを活かし2つの役柄を見事に演じ切り我々のハートを鷲掴み。ほんと可愛い。ただただ可愛い。でもかっこいい。羨ましい。

・直助(増田駿亮)
与茂七の付き人、元歌舞伎役者。伊右衛門の義父の最期について深く関係があり伊右衛門から「芝居を続けろ」と言われる。
増田さんも初めて拝見したが、とにかく幅が広い。直助は冷静に与茂七を車へ案内しているかと思いきやヒステリックを起こして絶叫してみたり紬とのコミカルなシーンがあったり、とにかく感情の動きが忙しいキャラクター。ご本人は必死に喰らいついて演じられていたのかもしれないが、こなれ感があり達者だなあと思った。今後の活躍が楽しみな一人。

・与茂七(佐藤亮太)
歌舞伎役者、祝の元恋人であり紬の夫。伊右衛門の義父9代目を慕いながらも最期を演出するサイコパス。愛の表現の仕方が壮絶。世間からは「かわいそうに。いい人だったなー」で片付けられる人。知らない所でとんでもない事してるんですよみなさん、って世間に教えてあげたい。
与茂七を演じた佐藤さんは失礼ながら少し頼りないキャラクターを演じているイメージが強く(失礼すぎ)、こんなサイコパスな役どころもされるのねと驚く。看板役者さんの役を新たに演じるプレッシャーはとても計り知れないが、佐藤さんの与茂七は本当に不気味でとんでもないやつだった。(褒めたいつもり)

2000字超えてきた、あと2人いきます。

・伊右衛門(能登英輔)
歌舞伎役者、祝の夫。9代目の義理の息子。9代目の最期について全てを知っているが、祝へ真実をごまかす。序盤、与茂七に斬りかかるシーンの目付きがギラリと光るシーンは我々観客を四谷美談の世界へ誘われた。最初から最後までシリアス。 天国と地獄どこに行くのだろうか?あの世で9代目と美味しい酒を酌み交わして欲しい。梅や祝と仲良くウフフアハハして欲しい。
大物カメレオン役者、小林エレキ氏の役柄を盟友の能登さんが演じると知った時は大変驚いた。サイコパスなトンデモ男から復讐する方になるんだから振り幅半端ねえ。
耳元で「許してくれ」と囁かれたら私は許す。(は?)役者が変わっても伊右衛門は伊右衛門。ベテランならではの安定さもありつつ、新たな伊右衛門の顔を観ることができ眼福。

・祝(曽我夕子)
9代目の娘であり与茂七の元恋人で伊右衛門の妻。父の最期について伊右衛門は全て知っていると信じて疑わず、口を割るよう持ち掛け襲名をほのめかす。個人的な話になるが祝を演じた曽我さんは某団体時代の先輩であり、yhs作品に出会うきっかけをくれた方なので本記事では敬意を込めて夕子ちゃんと呼ぶ。
初演の祝を観た時は、ただただ圧倒されて「大人の世界ってよく分かんないな」で終わってしまった。その頃は失恋して半年も経っておらず恋愛に対して不安な思いを抱えていたからかもしれない。
再演は今の夫が彼氏だった時に連れて観に行った。(のろけかい) 特殊メイクのクオリティも上がり路頭に迷う祝を当時の自分と重ねていたようないなかったような気がする。きっといずれはこの人と結婚して家庭を築くだろうけど喧嘩も上手にできないしどうなっていくんだろうと不安に思っていたような気がする。
さて今回。祝は美しかった。公演前に演出家が絶賛しているとXで能登さんが投稿していたが、その理由がよく分かった。祝は四谷美談の顔であり、祝がいるから四谷美談の幕が開くのだ。(実際の舞台装置に幕は無いがw) 3回目にして夕子ちゃんが演じる祝は四谷美談の顔になったのである。私も大人になったのか感情輸入せず冷静に観れた。四谷美談の祝は夕子ちゃんの為にあるのだと思う。今回も見守ることができて心から幸せに思う。サスペンスを観てこんな気持ちになるのは初めてだった。
願わくば、また夕子ちゃんの祝に会いたい。


キャラクターごとの振り返りが終わったので総評。

脚本演出である南参さんがパンフレット内の挨拶で「怨念」という言葉を使っていたのが印象的だった。(呪怨だっかな…違ったらすみません)
誰しもが持ち合わせている恨みや嫉妬等のエネルギーは強い。それをコントロールし作品として発表したり表現するパワーは誰でも可能なことではないと思う。
そのパワーを直に浴びれる事は本当に幸せなことである。
またそのパワーを求めて観劇するだろう。

締め方が分からなくなってしまったが、最後に。
隣で観劇してた妹が劇中映像に発寒中央駅が出てきてめちゃくちゃ爆笑してました。笑うポイント違うだろ。

お読みいただきありがとうございました。

おわり


いいなと思ったら応援しよう!