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ファートゥース

 ソシャゲばかりしている。アークナイツという硬派なゲームだ。四半期に一度、限定キャラが出る。今月はそのタイミングなので、休みの日といえば周回ばかりしていた。

太ももtier1

 高レアキャラを入手できるパックも出たので、かねてより欲しかったファートゥースという火力の強い女騎士をもらった。無限射程はロマン。彼女をゲーム画面に秘書として配置すると、「動かないで、髪がはねてるよ」と言って俺の髪を直してくれる。よくできた女の子だ。ファートゥースと付き合いたい。俺のことをドクターと言って慕ってくれる、彼女と。

 今月のはじめは、アークナイツも虚無期間と呼ばれるイベントごとの何もない時期があったので、別のソシャゲをインストールした。ブルーアーカイブ。Twitterなどで前々から認知してはいたけれど、あまり食指が伸びなかった。

 いざインストールして、強い女を求めてリセマラして、数日プレイしてみた。ソシャゲといえびアークナイツしか履修していないので、あまりにゲームシステムが異なりすぎて戸惑った。登場キャラみんなが、私のことを“先生”と呼んでくれる。“せんせい?”“せんせー!”“先生が率先して風紀を乱さないでください!”私は教員免許を持っている。先生になろうとしていた。教育実習で教頭と数学教師と喧嘩して、向いていねぇやと諦めたわけだが、そんなくそったれな己の過去を思い出させて、たまらずアンインストールした。さよなら、メイドアリス。

 noteにもアークナイツプレイヤーが幾人もいて、その誰もがガチ勢で驚く。私よりあとにアークナイツを始めたらしき方々が、私が難しくて放置しているステージを攻略しているのを目の当たりにするとたまげる。どんどん追い抜かれていってまるで人生みたいだ。ごめんね、こんなふがいないドクターで。

 エンジョイ勢としてぼちぼち育てていたキャラで、レベルマックスの面子十二人がようやく揃った。

脳筋パ

 こんな最強メンツが揃ったらどのステージも楽勝だわw そうたかをくくって、今回実装されたローグライクステージに足を運んだ。全5面。4面で全滅した。悲しかった。けれどもこれはゲームだから何度でもやり直しが効く。試行錯誤を繰り返して、一時間前一分前一秒前の自分よりもっと強い自分になれる。その間にも実時間は流れて、俺は日に日にだめになってゆく。このままじゃいけない。こんなことしてばかりいられない。じゃあどうしろってんだ。現実を振りほどくように私はアークナイツを開く。ファートゥースが俺の乱れた髪を直してくれる。ごめんね、取り乱しちゃって。ファートゥースは気にしないよというふうに笑うので、その顔から目が離せないので、俺はそうか、今、ファートゥースに恋をしている。

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