ニューヨークが、ニューヨークである理由
「ニューヨークの何が一番好きなの?」と聞かれるたびに、必ず答えていることがあります。世界中の美味しい料理が本格的に食べられること?最先端のアートやデザインに触れられること?奇抜なファッション?
もちろんそれも魅力だけれども、私がニューヨークに住みたいと思った理由、それは「いろんなバックグラウンドの人を受け入れる器の大きさ」
です。
ちょうど昨日、2年ぶりに行われたNYC Pride Marchを観てきました。LGBTQ+の人たちが主役で行われるイベントで、1970年に初めてゲイの人たちの人権が認められたことをキッカケに、毎年行われているイベント。そのイベントもあってか、6月はニューヨークの町中の建物やレストランにレインボーの旗が飾られていました。
ようやく歩けるようになったぐらいの小さい子から、80歳ぐらいのおじいちゃんまで、思い思いの格好をしたり、もはや服を着ていなかったりする人もたくさん。いわばなんでもありなんじゃないかと思う自由で平和なイベント。大きいEDMを流している車は、もはや東京ディズニーランドのパレードのよう。みんなで音楽に合わせて踊ったりしていて、もはやお祭り状態でした。
ちょうど数日前に、人工妊娠中絶が違憲であるという判決が出たばかりで、ニューヨークでは反対する人が大多数であるため、それについてのプラカードを掲げている人もちらほら。そういうプラカードを持った人たちが通ると、道の両脇から拍手が上がったり。
このパレードで一番好きだったのは、今年のテーマ・”Unapologetically Us.” “Unapologetically”は日本語の直訳がない言葉だけれども、ものすごく意訳すると「私は私だけど何か文句ある?」という感じかと。完璧でなかろうが、美しくなかろうが、私が私であることに、申し訳なさなんて微塵もない。自分が自分であることが良くも悪くも正義であるニューヨークの全てが詰まっている言葉だと思います。
もちろんニューヨークの器の大きさについては、異論もたくさんあると思います。差別は絶えないし、他の州と比べても自由であるとはいえ、宗教、人種、LGBTQ+の人に対してすら偏見がある時もやはりあると聞きます。
それでも、一人ひとりが「私はこういう人間なんだ」と主張したり、政府やいろんな権力に対しても、自由に表現してもいいと思えるのは、同じ自由を信じる人たちが形作る街だからかと。ニューヨークは外からきた人が多いからこそ、いろんな意見や価値観の人を抱えられる寛容さがあるのだと思います。(それゆえの問題もたくさんありますが…。)
いろんな国に住んできて、どの国も好きなところがあるのですが、ニューヨークの街としての魅力は「おおらかさ」かなあ。やっぱりどこも住んでみないとわからないことってありますね。