「銃だと思ったんだ。」
Black Lives Matter運動が起きてから早くも1年近く。特にアメリカでは、白人、黒人、アジア人といった人種間の差別はいまだに根深く残っている。その一つの事象として、「黒人は白人の3倍以上警官に殺される確率が高い」というショッキングなデータがある。被害者を撃った警官が口にした理由の多くが、タイトルの通り、「相手が持っているものが銃だと思った。」と話している。人種による偏見によって、起こした悲劇は数知れない。その事実を元に、”Not A Gun”というキャンペーンが立ち上がった。
“Not A Gun”は、Courageous Conversation Global Foundationという人種差別による中傷・暴力への関心を高め、立ち向かうことを目的とした組織による広告キャンペーン。屋外広告と、TVの映像で行われた。
映像では、白人女性や男性がチョコレートバーを買っていくところから始まり、アフリカ系の男性も同じようにチョコレートバーを買うと、それがたちまち銃に見えるようになる、というぞわっとする映像。この広告を通して、人種によって見え方が違う偏見が存在すること、その偏見によって黒人を誤って射殺してしまう警官を減らすために、取り締まりを強化を嘆願するサインを呼びかけている。
実際のデータと、わかりやすい映像があることで、衝撃的な事実が伝わりやすいキャンペーンだった。もしかしたら自分自身も無意識のうちに人によって偏見を持っているかもしれないと危機感を持つようになった。BLM運動や人種の違いによるヘイトクライムが増えている今だからこそ、自分の行動だけでなくて、認知の仕方も気をつけないと、誤って人を傷つけてしまうことになりかねない。ただ恐怖を煽るだけでないキャンペーンだったのが印象的だった。
ただ、「人種差別は良くない、なくそう」と呼びかけるだけでは意味がない。人種問題による分断があるアメリカだからこそのキャンペーンだと思った。