【ありがとうタイムズマート】武田店長へのインタビューを終えて
※本記事初出:2020年9月
<注>本記事は『聖地らぼらとり』旧サイトからの移植記事です。以下の内容は、すべて2020年9月時点の情報に基づいています。
店長のポリシー
『タイムズマート飯能店』の武田好成店長には、以前より個人的にお世話になっており、日頃店長とお話をする中で、店長のお考えや人柄については存じていたつもりであった。しかし、このたびインタビューを快諾いただき、改めてお話を掘り下げながらじっくりと伺ってみると、店長のこれまでの取り組みについての私の断片的な理解のひとつひとつが、すべてつながったような気がした。
つまり、みずから『ヤマノススメ』のファンとなって、作品とともに飯能の街を盛り上げようと動いたり、近隣住民向けに配達や御用聞きといった万屋のようなサービスを提供したり、東日本大震災の被災地に出向いてボランティア活動を積極的に行ったりといった、店長の数々の取り組みのすべてには、「損得よりも善悪で物事を考える」、「人生は長さよりも幅」という、ご自身の持つ明確なポリシーが根底にあったのである。
しかし一方で、それらの店長の取り組みが、お店の経済面にプラスに働くかと言えば、必ずしも直接結びつくようなものではない。それでも店長は、それを承知の上で「損得よりも善悪」を貫いた。
また、時に畑違いの技能を身に付けてでも、店長自ら何でもこなしてしまうその行動力は、まさに店長の持つ「幅の広さ」から来るものであろう。たとえば、昨年末の旧店舗の閉店(移転)作業においては、什器の解体・廃棄や看板の取り外しといった難しい作業も含まれる中、業者に頼むでもなく店長みずから音頭を取り、手伝いに来たアニメファンの方々と協力しながら、全ての工程を終えたことは記憶に新しい。(→ご参考記事)
店長はインタビューの中で、ご自身にアニメについての知識が無かった頃に『ヤマノススメ』が飯能にやってきて、当初は作品と作品のファンのことを理解したいという気持ちから関わり始め、やがてみずから『ヤマノススメ』と共に飯能の街を盛り上げようと行動するようになるまでの経緯を語ってくださった。その思いは今でも変わらず、移転先でも『ヤマノススメ』コーナーをなんとか存続させ、アニメファンの集う場所を維持しようと日々奔走されている。もともとアニメファンではなかった店長が、なぜ『ヤマノススメ』、『ヤマノススメ』のファンのためにここまでするのだろうか。それには、自分の知らないさまざまな物事や人々について、理解をしたいという思いがあるのだという。これも「幅の広さ」と言えるであろう。
タイムズマートとアニメファン
タイムズマートには多くのアニメファンが訪れる。アニメファンといってもさまざまで、『ヤマノススメ』の聖地巡礼で飯能に来た際に初めて訪れる方もいれば、聖地巡礼者というよりも、お店の常連として食料や日用品を買うために訪れる方もいる。
アニメファンがタイムズマートを訪れるのには、『ヤマノススメ』の重要なシーンでたびたび登場する天覧山の麓にお店が位置している(旧店舗)ことや、店内に『ヤマノススメ』コーナーが設けられ、グッズを見たり、ファン同士で交流したりできることも大きな要因であるが、ファンを惹き付ける理由として特筆すべきは、店長という人間そのものである。
筆者は、タイムズマートにこれまで何度も足を運んでおり、そのたびに店長がさまざまなアニメファンと会話する姿を見てきたが、多くのファンがリラックスした様子で話していたことが印象的であった。
かく言う筆者もその一人で、話し上手で聞き上手である店長との会話は楽しく、つい時を忘れてしまうこともあった。お店に通う回数を重ねてくると、話題は『ヤマノススメ』に限らず、単なる近況報告や、自分の身の回りの他愛もない話に終始することも多かった。これは、タイムズマートを訪れることが、自分の日常の一部となっていたことの表れなのかもしれない。ただ店長と会話すること自体が楽しい、そんな気持ちにさせてくれる場所であった。
新・タイムズマートのこれから
『ヤマノススメ』作中にも登場した天覧山の麓のタイムズマートは、残念ながら姿を消してしまった。しかし、武田店長がいる限り、場所や姿は変われど、飯能を訪れるアニメファンの憩いの場であり続けると同時に、あるときは地域の人々にとっての頼れるお店となり、またあるときには何かしらの悩みを抱える人々の心の拠り所ともなり得る、そんな独自色溢れるコンビニとして、これからも健在であろう。
店長、これからも色々とお世話になります!
どうかお体を大事にされてくださいね。