【ありがとうタイムズマート】武田店長インタビュー[その1]
※本記事初出:2020年2月
<注>本記事は『聖地らぼらとり』旧サイトからの移植記事です。以下の内容は、すべて2020年2月時点の情報に基づいています。
『聖地らぼらとり』では、「ありがとうタイムズマート」と銘打ち、旧店舗の閉店を目前にした2019年12月、埼玉県飯能市にあるコンビニエンスストア『タイムズマート飯能店』店長の武田好成さんにインタビューをさせていただきました。今回の閉店および移転の決定に至る経緯や、店長がこれまで店舗を経営してきた中でこだわってきたことや感じたこと、そして移転後の構想等々、さまざまな事柄についてお考えを伺ってきました!
謝辞
このインタビューは、タイムズマートの閉店および移転に際して、以前より個人的にお世話になっていた武田店長に、一人の物書きとして何らかの形でタイムズマートを応援したいという私の申し出を聞いていただき、実現したものです。移転準備のさなか、そしてただでさえ忙しい師走の時期に、長時間にわたってインタビューに応じていただき、誠にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。
ーー今日はお忙しい中ありがとうございます。それではまず、今回の閉店、および移転の決定に至る経緯について、お話いただけますか?
店長:
タイムズマートは『ヤマノススメ』がはじまる前、そして東日本大震災が起きる前から営業していて、オープン20年くらいでしょうか。震災の前あたりまではそれなりに売上があったのですが、その後近隣に競合店やスーパーが出来たことで、人の流れが変わってしまいました。そんな中震災が発生して売上は落ち、さらに私は被災地支援をガッツリやっていたので、お店の方を疎かにしてしまったということもありました。その前に、タイムズマートは本部が無くなってしまっていたので、コンビニとしての機能が全く果たせていない、お客さんからしてみれば、通常のコンビニとは違って、本はない、コピー機はない、ATMはない、から揚げはない、おでんはない、そのような状況でした。
ーータイムズマートの本部がなくなったのはいつですか?
店長:
今から10年くらい前でしょうか。ちょうどその頃はコンビニの淘汰の流れがあって、このコンビニ業界も競争が激しくなりました。そんな中、震災がありました。そのあと『ヤマノススメ』が飯能にやってきて、私も、グッズを作ったりイベントやスタンプラリー等を行い、『ヤマノススメ』の聖地巡礼のお客さんにいっぱい来てもらいました。しかし、街のオヤジが一人で仕入れ、POP作り、プライスカード作りなどを全てやっても、お客さんのニーズに合わせた品を揃えて、満足してもらってまた来てもらうような、そういうお店づくりが難しく、厳しい状況が続きました。ただ、このソフトクリーム(注1)については、これだけの種類を売ってるお店は近隣にはないし、イベントでの販売なども行い頑張っていました。
店長:
そうした中で、漬物のテーマパークが出来るという話(注2)が降って湧いたように出てきました。隣にそのようなテーマパークが出来れば、お客さんも来るだろうし、なんとかその完成まではお店を頑張って維持して、『ヤマノススメ』の四期を迎えたいと思っていました。しかし諸事情により、現在のタイムズマートがある場所から移動せざるを得なくなったのです。そのような状況にあっても、『ヤマノススメ』の聖地であるタイムズマートの、世界に一個しかない「ヤマノススメコーナー」(注3)を残したいし、ソフトクリームを喜んで買いに来てくれる子供たちの笑顔も見たい、それでいてご飯も食べていかなければならないわけです。そのとっかかりとして、近くに移転する場所をなんとか見つけたので、とりあえずはそこに移って、ゼロから、マイナスからまた始めたいと思います。しかし、今回の閉店・移転は急な出来事で、アニメファンのみなさんの協力もいただき続けていければと思っています。アニメファンのみなさんから協力をいただいた前例として、以前台風でお店のガラスが割れてしまった際には、Twitter上で支援をお願いするツイートをしたところ、すぐに集まってくれたことがあります(注4)。
ーーそうした前例がちゃんとあるのですね
店長:
そうなのです。だから、今回も皆さんの協力をいただき、なんとか新しい交流の場所として、『新・タイムズマート』を実現させたいと思っています。『ヤマノススメ』のファンのみなさんも、ファンの交流の場所であるタイムズマートが無くなることをとても心配してくれていて、そこが要です。さらに、『ヤマノススメ』が始まったときにとっかかりを作ってくれた秩父のアニメファン、それから鷲宮のアニメファン(注5)も協力してくれると仰っていただいています。