「ZOZOの奇妙な暴言」を見て「ZOZO絶ち」が大流行しないと良いですね、と思った話
本田です。ジョジョ立ちよりも炭水化物断ちが必要そうな中年男子です。
(ジョジョ立ち風の見出し画像はぱくたそさんより。)
年明けのお年玉企画で数百万人ものTwitterフォロワーを獲得したZOZO社長の前澤さんが、Twitterを休むことを宣言されました。まだあれから一か月しか経っていません。
ご本人ははっきりとは書かれていませんが、この件が影響しているのは間違いないでしょう。
「ZOZOの奇妙な暴言」がすごい
元のツイートは削除されましたが、スクショが出回っているので、全力2階建さんが「ZOZOの奇妙な暴言」と呼ぶ、前澤さんがツイートした一連のアンケートをご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
選択肢部分のフォーマットは異なりますが、以下のような内容でした。
いまお店で約1万円くらいで売られている洋服の原価がだいたい2000円~3000円くらいだということを、皆さんはご存知ですか?
(知っていた/知らなかった)
自分が定価で買った洋服が、あとあとセールで安く売られているのを見たときの気持ちは?
(素直に残念です/仕方ないと思う)
後々セールスることが決まっているなら、最初からセール価格で販売して欲しい。
(はい/いいえ)
どうせ少し時間がたてばセールになるので、洋服を定価で買うのは馬鹿らしいと思う。
(思う/思わない)
皆さんの洋服の買い方は?
1.最新作が欲しいから定価でもいいから発売後すぐに買う。
2.どうせセールになるから少し待ってからセールで安く買う。
(1.すぐに定価で買う/2.少し待ってセールで買う)
これ、前澤さんは一体何をしたかったんでしょうか?
アンケートで尋ねているような内容は、自社サービスの購買動向を分析したりマーケティング調査をやることで、当然、既に分析されているでしょう。また、それを前澤さんが知らないと考えるのも、あまり合理的ではないように思います。
そう考えると、ここでやろうとしていたのは、消費者を味方につけて、極力中間コストを抑えて最初から可能な限り安く提供するアパレル業を目指すことの態度表明だったのでしょうか??
もしそうだとすると、それが前澤さんの理想なのかもしれませんが、アパレル業界にとってそれが良いことなのかは疑問ですし、業界で働いている皆さんの仕事の価値を認めないと言っているのと大差ないようにも思います。
便利にして値段を下げることは生産性向上ではない
日本は生産性が低い等と最近よく言われていると思うんですが、日本の生産性が低いことの最大の要因は、モノやサービスの価格が原価重視で、付加価値を乗せるのが難しいことなんですよね。
海外に行くと良く分かりますが、日本のモノやサービスは値段のわりにハイクオリティーな場合が多いです。飲食等はその典型で、世界基準で言えば、おそらくかなりの過剰品質でしょう。
価格に付加価値を乗せるためには、消費者にそれを納得してもらう必要があるのですが、そのために編み出されたのが、飲食であればミシュランガイド等による権威付けであったり、オリジナリティであったり、希少性であったり。
ちなみに、六本木一丁目の鮨さいとうのように長年ミシュラン三ツ星という最高評価を得ているにもかかわらず割安な値段で提供しているお店は、一般の人が予約しようと思ってもできない行列にすら並べないお店になってしまっています。
話が逸れましたが、これがアパレルの場合で言えば、ブランドや流行等でしょうか。価格に付加価値を乗せるために、「他人よりも早く流行に乗ることに価値がある」と、これまでがんばって啓蒙してこられたわけですよね。アパレル業界の皆さんは。
今回の前澤さんのやらかしは、アパレル業界の売上の一部を得るビジネスを展開する企業のトップが、そうしたアパレルの皆さんのこれまでの努力にまったくリスペクトを持っていないように見える点で、筋悪だなぁと思わざるを得なかったのでした。
とは言うものの、アパレルメーカーのZOZO離れのニュースが続く中、これをきっかけにZOZO断ちするアパレルメーカーが増えなければ良いなぁと、いちZOZOユーザーとしては思う次第。
おわり。