01 人生25軒目、51歳からのシェアハウス。
いきなり年齢を明かすのもなんだが、51歳である。
「51歳でシェアハウスなんか入れんの?」と驚かれる人も多いが、入れるのである。もちろん、「30代まで」とか年齢制限されるシェアハウスもあるが、私が住んでいるところはなかった。代わりに「学生不可、社会人のみ」だった。
石川県金沢市で生まれ、東京で育ち、7年の鎌倉住まいを経て、2022年2月より京都に移住。現在の家は人生始まって25軒目、目指すは43回引っ越した谷崎潤一郎。
というのを新しいプロフィールにして、京都で暮らし、引き続きライター兼編集者として生きることを決めた。まあ、ホントいうとあるプロジェクトのメンバーとして来年早々に奈良に移住するかもしれないのだが、まずは京都の四季を楽しむ予定だ。
2021年12月18日。私はFacebookにこう書いている。
「人生煮詰まったら、家を変えるか、仕事変えるか、男変えるかしろ」というアドバイスを歳下の女友達にしてきたけど、いよいよ自分だろ、と思う2021年師走。
奈良のプロジェクトに誘われたのが2021年の春。そこから心はすでに関西へと飛んでしまい、じりじり悶々と年末を迎えるなか、ふと「そうだ 京都、住もう。」とキャンペーンコピーよろしく思ったのである。
実のところ、京都はいつか住みたい土地だった。でも冬の寒さが厳しいと聞いていたので、「だったら60代で移り住むのは厳しかろう、50代で住もう」と決めていた。しかも、奈良のプロジェクトの準備も京都のほうがしやすいし、「祇園の酒場でアルバイトしてみたい!」という願いも叶う。一挙両得どころか三得くらいの、じりじり解決法。
そうなったら早いのが私の取り柄(原稿以外はなんでも早い)。すぐに京都のシェアハウスを検索した。
賃貸マンション/アパートにせず、シェアハウスにしたのは、翌年に奈良移住が控えているという理由から。しかしながら、検索して偶然見つけたこのシェアハウスを一目で気に入ってしまったというのも大きい。
リビングに大きな本棚! え、これはフリーライターに「おこしやす〜」っていう物件でしょ! どれどれ、住所はどこかしらん……と確認したら、なんと私がサブスクしているクラフトビール屋さんの店舗の上ではないか!
しかも、ここは私が大好きな「サウナの梅湯」から徒歩3分の立地なのである。これはもう”呼ばれてる”に違いない。そう思った私は、早速、内見依頼をかけた。
(ちなみに以下は五箇公貴さんという方の書かれた、サウナの梅湯関連のなかで「これ一本で十分!」という文春の記事。)
「あの辺りはもってのほか!」
当初の予定では2022年1月に4軒のシェアハウスを内見する予定だった。
場所は点在していて、
①七条(上記の物件)
②西陣
③二条
④一乗寺
である。
生粋の京都人や、京都移住者、過去の住民など、友人たちに情報やらアドバイスをもらったところ、まず私の第一希望である①に関しては、生粋の京都人ふたりから、
「以前、その地域に山口組系事務所があったり、発砲があったり、昔は遊郭などもあったので、あまりオススメしません」
「サウナの梅湯の辺りは昔の遊郭で、五条楽園という、ボクのようにいいとこのボンは近寄らないように、と言われていた地域です。ウチの家内などは、あの辺りはもってのほか!という感じ」
というメッセージがあった。短期間ならOKだが、「京都に長く住んで仕事をするなら、住所だけで信用されないかもしれない」とのことだ。
また④は、近くに恵文社という素晴らしい書店のある「ディープ京都」とも言われる文化的なエリアだが、「不便」「寂しい」「冬はすごく寒い」「隠居するならいいけど…」とのことだった。
しかも④のシェアハウスは一軒家タイプの7室で、申し込んだ当時、女性1人、男性6人が入居中。男女混合のシェアハウスはロンドンで住んだことがあるが、さすがにこの比率だと、リビングが散らかっていたり、トイレや風呂や洗面やシンクなど水回りが汚くて、ストレスになるかもしれない。
とはいえ、物件担当者Sさんの電話での応対が非常に感じよく、左京区に魅力も感じているので、とりあえずは見よう!と決めた。
さて、タイトルに「25軒目」と書いたけれど、こんな具合である。
①金沢 横山町(0歳〜)
②金沢 彦三
③金沢 石引町
④金沢 大手町(小学1年生〜)
⑤東京 東村山市(小学4年生〜)
⑥東京 田無市(中学3年生〜)
⑦東京 田無市(大学2年生〜 一人暮らし)
⑧東京 善福寺(23歳〜 一人暮らし)
⑨東京 保谷市(26歳〜 母と)
⑩東京 清瀬市(28歳〜 恋人と)
⑪ロンドン バーラム(30歳〜 ホストファミリー宅)
⑫ロンドン アールズコート(キ○ガイ日本人女性と2週間だけ)
⑬ロンドン アールズコート(イギリス人の70代の素敵なおばあちゃまの家)
⑭ロンドン ハイストリートケンジントン(エジプト人男性と揉めて2週間だけ)
⑮ロンドン バタシー(日本人のヤスカとトモと3人で)
⑯東京 清瀬市(31歳〜 帰国して、恋人と暮らしていた家に戻り、3カ月弱だけ)
⑰ロンドン バタシー(イギリス人の友人のご自宅)
⑱ロンドン バタシー(イギリス人の恋人と)
⑲東京 三軒茶屋(32歳〜 ロンドン語学学校同期のケイコとユキと3人で)
⑳東京 祐天寺(34歳〜 一人暮らし)
㉑東京 尾山台(37歳〜 一人暮らし)
㉒神奈川 鎌倉・長谷(44歳〜 計6人の女性のみのシェアハウス)
㉓神奈川 鎌倉・由比ガ浜(恋人とふたりで)
㉔神奈川 鎌倉・和田塚(一人暮らし)
㉕京都 下京区(現在)
25軒というとびっくりされるのだが、小学1年生までに父親が4軒も住んでいるし、敷金礼金がなくデポジット1カ月分のみ、スーツケースひとつで引っ越しができるロンドンで7軒稼いでいるから、まあ、引っ越しマニアとは言えないかもしれない。
何はともあれ、京都のシェアハウス4軒の内見を楽しみに、私は2022年の元日を迎えたのであった。