マジックの演技紹介 3
第3回の今回は、キムヒョンジュンさんの扇子🪭のアクトです。
キムヒョンジュンさんといえば、玉カード(カード玉の方が正確?)の印象が強い方が多いと思いますが、今回紹介させていただくのは、彼が韓国のテレビ番組「The Magic Star」の1st ラウンドで見せてくれた扇子の演技の方です。
この演技の好きなところは、第2回のPohanさんの時と少し被りますが、演技の中に複雑で深い感情を感じ取れる点です。そもそもキムヒョンジュンというマジシャンは、感情表現がとりわけ得意なマジシャンだと思います。というのも、単調になりがちな玉カードのルーティーンであっても、あそこまで表現を豊かにして演じるていますし、その結果、見ている人の心を掴んでいます。
今回の扇子の演技を深く見ていった時、ぼくはこの演技のなかに「葛藤」という感情が強く溢れているのを感じました。
キムヒョンジュン演じるこのアクトの主人公は、人と鬼の二重人格を持っていて、内面に住んでいる鬼との葛藤を描いているんじゃないかなと思います。演技の中に、「自分の中にいる鬼が出てきてしまった」というシーンや「鬼を克服する」というシーンが出てきますが、それらの表現はたくさんの精緻な工夫で溢れていて圧巻です。
この演技には、ぼくのような解釈以外のやり方の余地がたくさん残っていると思います。みなさまも、ぜひ自分なりの解釈でこの演技を楽しんでみてくださいね。