人生には仕事よりも大切なものがあるから、私は残業しません。
こんばんは! 氷河期世代ど真ん中、崖っぷち派遣社員のぴっぴです。
今から20年ほど前のこと、まだ20代の私はワーカホリック(仕事中毒)で、日付が変わるまで会社にいることが日常茶飯事でした。電車が無くなると、適当にその辺の会議室で寝て、朝、出社してきた社員に驚かれたりしたものです。そのうち会社にお泊りセットを常備するようになりました。
小さな会社でした。部署移動を機に本社から離れ、近隣のマンションの一室で仕事をするようになると、ますますワーカホリックは加速しました。なにしろマンションの一室ですから風呂も完備です。次第に自宅に帰るのがめんどくさくなり、1週間ほど泊まり込んでは帰宅し、着替えを持参してまた1週間泊まり込むという生活を繰り返していました。今となっては到底そんなことは無理ですが、若かった私は、それなりに日々を楽しんでいたものです。
ある日のこと、用事があって本社に戻りました。時刻は21時を回っていたように思います。
そこには入社して1年余りのNくんと、他に数名の社員がいました。
「あっ、まだ残ってたの、Nくん。こんなに遅くまでいたら、会社に根っこが生えちゃうよ。早く帰って帰って」
ポン!と彼の肩に手を置きました。彼は座ったままで私のほうに顔を向け、ニコリと可愛らしい笑顔を見せてくれました。言葉を交わすことはありませんでした。あの笑顔、今日まで忘れたことはありません。
翌日、Nくんは出社せず、心配した同僚が自宅を訪ねました。
そして、自ら命を絶ってしまった彼を発見することになりました。
あまりに突然の訃報に、目の前が真っ暗になりました。
私は、彼にこの世で最後に言葉をかけた数人のうちの一人になってしまったのです。
後悔が駆け巡ります。なぜあんな気楽な言葉をかけてしまったんだろう。あのとき、もっとよく彼の様子を観察していたら結果は違ったかもしれない。悩みや苦しみが彼の目の色に現れていたかもしれないのに、私はそれを見逃した。
Nくんも残業続きだったようです。そのことが命を絶った原因ではないかもしれません。プライベートで何かあったのかもしれないし、精神的に不安定なところがあったのかも。しかし、罪悪感に苦しみました。
自分が大丈夫だからって、他の人も同じだと思ってはいけなかった。軽い感じで声をかけてしまうなんて無神経だった。残業しても平気な様子の私を見て、ショックを受けたのだとしたら・・・
この出来事があって、私は決めたのです。もう残業するのはやめよう。なるべく早く帰ろうと。
自分が遅くまで仕事するのは勝手だけど、その姿が、他の社員にプレッシャーを与えているかもしれない。「あの人が残業しているから、俺も残業しなきゃ」なんて、思わせてしまっていたかもしれないんです。
それからは、残業を前提に仕事を受けるのはやめました。無理な仕事はきちんと断るようになったのです。
ワークライフバランス。今となっては当たり前の考え方ですね。
人生には仕事よりも大切なものがあります!!
会社は責任なんてとってくれません。
やがて「いかになるべく仕事せずに生きていくか」を追求した結果、株式投資を始めることにもなりました。今はほぼ残業無しの派遣社員で月に10日しか働いていませんが、無理なく食べていくことができています。ちなみに扶養はされていません。我が家の生活費は、夫と完全に折半です。
Nくん、もっと話したかったな。
どうして、という思いはこれからも消えません。
今は生まれ変わって、毎日好きなことをして、楽しく暮らしていると信じています。