見出し画像

【書籍】勝つ勝たぬは、毛利家がどちらにつくかによってきまる

書籍「関ヶ原(中)」(司馬遼太郎著・新潮文庫刊・538頁)から。
(上)(中)(下)、合計1,577頁に及ぶ長編は、実はこの(中)がいちばん面白い。
全国の名が、いろいろな思惑を抱え、西軍・東軍、どちらにつくか、
それぞれのお家事情も考慮しながら、究極の選択を迫られる。
特に、西軍の諸大名が、東軍・徳川家康側に寝返る様子は、
物語とはいえ、目を覆いたくなる。
家康から寝返りを持ちかけなくても、自ら申し出る大名の多さに驚いた。
これでは、戦いが始まる前から、勝負は決していた、とも言える。
しかし現実は、彼らが東軍に寝返らなければ、西軍が勝利した可能性も高い。
これまた、今回の選挙と似ている。
「公認、推薦」などを受けていても、実は、誰もわからないということ。
「あなたを応援しますよ」と言いながら、対立候補の名前を書くことだって、
実際にはありえることだし、そのまた逆も然りである。
今回、面白かったのは、毛利家の判断。
「(この戦さ)、勝つ勝たぬは、毛利家がどちらにつくかによってきまる。
それゆえ、いまここでそれを決めるわれら二人が、勝負の予想をするのは滑稽だ」
という台詞が示す通り、西軍の大大名である「毛利家」が、どちらにつくかによって
関ヶ原の勝敗が決まるというのに、当の毛利家の中では、まこと真剣に、
どちらが勝つか予想し、勝つ方につこうと決めかねている様子は、
第三者的に観察している読者としては、笑わずにはいられない。
けれど、本人たちは、本領安堵するにはどちらに味方すればいいのか、
真剣に考えた末、どちらにもつかない、という決断を下す。
これこそ、西軍が負けた原因の一つであろう、と私は思うのだが。

P.S.
さて、衆議院議員選挙は、どんな結果が待っているのやら。

いいなと思ったら応援しよう!