20241010-02 世界記録保持者川相昌弘さんの本
高校の授業も、大学受験勉強も、大学の授業も、新卒入社時の研修中だってろくに聞こえた経験がない。だから人から学んだという記憶が薄い。今の流行でもある「独学」という便利な言葉もないころから独学をしてきた。ってか、独学を強いられてきた。
もちろん大切なことは板書されるし、私には友達という存在がいた。必要最低限の情報はそこで入手できたが、それが全てだった。世の中の深い教えや言葉たちに触れる機会を自ら手放していた。幼すぎた。
お前が聞こえないことから逃げ回っていたころに、まわりの人はこうして努力してたんだぞ。そんな努力、成長の過程を学んだ本についてAmazonにレビューを書いた。川相昌弘さん。そう元巨人/中日のいぶし銀。犠打世界記録の名選手である。
人が成長する過程で、誰にどんな言葉をかけてもらったのか。誰にどんなことを教えてもらったのか。
いまさらながら気づいたのは、私がノンフィクションやこのようなコーチングの本を好むのは、聞こえない自分に欠けているそんな言葉への出会い、聞きたくても聞けなかったそんな言葉を聞くためだったのかということだ。
たとえば本書ではこんな言葉が紹介されている。(p.13)
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ゴールのラインがフィニッシュじゃない。ラインの先まで走りなさい。練習のときから、一歩先まで走ることを習慣づけておきなさい。その積み重ねが、1年、2年、3年とたっていけば、ほかの選手と大きな差になるから
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ウォーミングアップで行うショートダッシュについて、新人の選手たちにかけた当時の二軍監督の国松彰さんの言葉。それを忠実に守り、川相さんは首脳陣に認められて頭角を現したという。
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一歩先まで走ることを、継続してやっていたのはお前だけだった
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当たり前のことかもしれない。でも当たり前のことを当たり前にやることってとても難しいこと。そんな当たり前を当たり前にやり続ける先にしか、選手としての成功はないこと。そんな当たり前のことを私はあらためて本書で学ぶ。
聞こえないことを開示して、勇気を出して進んだ社会人大学院で出会った多くの一流のアスリートや学び巧者の友。筆談で深いコミュニケーションをしてもらった。そこでようやく私は学ぶことの本質を学んだように思う。
私の専門はスポーツではなかったけど、なぜかその世界の住人にしてもらえた。そこでいろんなことを学んで、その学びを日々に生かして今に至る。そんな人たちへの感謝を旧体育の日の今日のうちに伝えたくて2つのことを書いた。どこかで誰かに届けばうれしい。