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冬の合間の雪桃子
昼前、穏やかな陽射しに誘われて自転車を走らせた。今週はなかなか体を動かす時間がなかったので、体をゆっくりと目覚めさせるように、風を感じながらペダルを踏む。
適度な疲労感が心地よくなってきたころ、ちょうどコンビニが目に入った。喉を潤そうと立ち寄ると、スイーツコーナーで「ヤマザキ 雪桃子」を発見する。白もも、桃風味クリーム、求肥——その組み合わせを見た瞬間、迷いなく手に取っていた。会計を済ませ、家に戻り椅子に腰を下ろす。
包みを開くと、桃の形をイメージしたやわらかい求肥をそっと歯で噛み切ると、なめらかなクリームと白桃の甘みが口いっぱいに広がる。更に中に入ってる求肥が良い食感を演出している。少し疲れた体に、優しい甘さがじんわりと染み込んでいく。思わず目を閉じ、桃と言えば、そろそろひな祭りか……と、春の訪れを味覚でも感じる。
周りを見渡すと、穏やかな日差しが部屋を明るく照らす。こんな小さな幸せが、日常を豊かにしてくれるのだろう。最後のひとくちをゆっくりと噛みしめる。たったこれだけの時間なのに、気持ちがふっと軽くなった気がした。
よし、部屋でも掃除するか。体も心も満たされ、自然とそんな気持ちが湧いてくる。窓から空を見上げると、雲一つない青空。
冬の合間の休日に、ちょっと得をした気持ちになった。
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