いよいよAIが雇用に影響か

 1/16(木)の日刊工業新聞の報道によると,アメリカのマイクロソフト(MS)が,コストの削減のため,米国のコンサル部門の一部での採用を停止する計画があるようだ.2025年度,MSはAIモデルの訓練,AIクラウドアプリの開発のためのデータセンター構築に約12兆6000億円を投資するらしい.MSのコンサル部門幹部によると,新規採用のほか,退職者などの穴埋めの採用も控えるようだ.
 私はこのニュースを読んで,いよいよ人がAIに雇用を奪われはじめたなと思ったが,一方で,人材不足に悩む企業はこれから有利かもしないと,明るい感情も抱いた.特に,日本はこれから少子化によって,どんどん人が少なくなっていくから,その分,AIに働いてもらったほうがいいだろう.そして,これからは,AIに代替不可能な仕事を見つけ,稼いでいかなければならないのだ.では,AIに代替不可能な仕事ってなんだろうか.それを知るには,まず,これまで日本の学校教育が,どのような人材の育成を目指してきたのかを知るのが有効だと思われる.
 私は,日本の学校教育はこれまで,医師や弁護士,学者といった専門家を育成するために存在していたようなものだと思っている.実際,給料のランキングをみてみると,少し古いが厚生労働省の「平成29年 賃金構造基本統計調査」によると,1位は医師(1,197万円),3位大学教授(1,050万円),5位弁護士(1,028万円)だった.確かに,これらはとても立派な職業だと思うが,誤解や批判を恐れずにいうと,与えられた教科書を暗記し,覚えることができたかテストでアウトプットできる能力が問われてる印象をもつ.たとえば,弁護士が六法全書を丸暗記して,暗記した法律をもとに被告人を弁護するように,また,医師が人体の知識を総動員して患者を診るように,職務の前提となるのは莫大な専門知識だった.しかし,インターネットや生成AIの登場で,この前提はもはや崩れたと言っていいだろう.人が覚えるべき知識などもはや無いとも思える.
 しかし,AIには一つ致命的な弱点がある.それは,「AIには物事の真偽を確かめられない,知り得ない」ということだ.たとえば,言語生成AIで有名なChatGPTは,真偽不明・玉石混交のインターネットの情報をもとに文章を生成するためか,時に間違ったことを言ってしまう(ハルシネーション)が課題のひとつになっている.また,人種差別的発言といった倫理的な課題もある.これらの課題は,人間が新時代の職業を創造するうえで,ヒントになると考えられる.よって,新時代の人が担う職業の中心的役割としては,「真偽を確かめる役割,または倫理的な判断をする役割」が中心になると思われる.私は,これからは企業に「倫理部門」ができ,AIによって提示されたデータや主張の真偽を確かめたり,AIによる経営判断の倫理的な側面について考える人間たちが現れると考えている.
 新時代の職業,それは,「ジャーナリストのように物事の真偽を明らかにしたり,人間的な倫理的判断をする仕事」だろうか.
 以上,大学院生の主張でした.ここまで読んでいただき,ありがとうございます.それではまたね!

 

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