東大院試結果
結果
東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻に出願し、合格。
第1希望の研究室にも配属されました。
定員(といいつつも毎年10~人は多めにとってる)45人に対し、合格者は61人と例年通り多めに合格。
受験者は過去最多の96人と聞いたが正確な数値は工学系研究科のホームページ(一般入試 | UTokyo-Eng (u-tokyo.ac.jp))にそのうち掲載されるだろう。
合格発表の形式が専攻ごとではなく工学系研究科全体の合格者を一気に掲載する形式だったのは意外。(上2桁が違うのでわかりにくくはなかったが)なにはともあれ院浪人という形は回避できて安心といった所。
投稿者について
自己紹介
そもそも初めてnoteでの投稿でしたね。軽く自己紹介します。
自分は現在東京大学工学部マテリアル工学科に所属しているB4です。
大学入学時は理科2類です。
趣味はポーカー♠、海外サッカー⚽(Arsenalファン)など
残念なことに大衆受けする感じではないですね…
大学院進学については内部進学組ということになります。
外部から受験することを考えている人(以下、外部)にとっては「なんだ、内部かよ。」
と思われるかもしれませんが、外部にとっても参考になる情報は書くつもりなのでそこだけでも知って頂けたらなと思います。
noteについて
急にnoteへの投稿を始めたわけですが、特に大きな理由はないです。
強いて言うなら「自分の思考、経過を記録してみたくなった。」といった所でしょうか。
自分はジャンルを問わずYoutubeやX上での議論をみると、自分の意見を一先ず大体作り上げたうえで共感できる方にいいねをつけるということを偶にするのですが、これって思考放棄とまではいかなくとも楽していると思うんですよ。
思考の言語化って思った以上に難しいですし(主観ですが)、いざという時に上手く説明する力がないと双方で認識の齟齬が生じて面倒な過程を挟むことになり兼ねないなと最近思うようになったんですね。
具体的には自分の研究室ミーティングで定期的に行われる論文の輪講とかですね。自分が頭の中では分かっていても、論文の要旨を言語化している状態でないと質問1個解決するのに時間がかかって非効率的じゃないですか。帰る時間も遅れますし(殴
思考に限らず、言語化する能力は磨いて損することは無いと思ったのでnoteで練習してみよう、となって今に至るわけですね。
そこで最近院試の合格発表があった上、院試対策を始める際に、過去のマテ工受験者のブログとか参考にしようとしても何も引っかからなかったので、内部外部向けに書くことにしました。コンセプトとしては院試がどのような感じで行われるか、対策として自分は何をしたかについて触れようと思います。院試を受けるのにあたって参考になれば幸いです。
試験について
自分が受験したマテリアル工学専攻(以下、マテ工)では事前に提出するTOEFLもしくはTOEICのスコアに加え
・一般教育科目(数学、物理、化学から1科目)
・専門科目(マテリアル工学基礎)
・口述試験(面接)
を総合して合否判定が行われます。一般教育科目については出願時に指定するので早いうちに決めておくと勉強しやすいでしょう。自分は数学を選択しました。選択科目によりますが、一般教育科目は専門科目とは別の日に行われるますがインターバルは多くて丸1日くらいなので、直前期の科目の勉強バランスは気を付けたほうがいいでしょう。
ではそれぞれの科目について触れます。
数学
自分が受験した数学について、実際に出た問題は冒頭で掲載した工学系研究科のホームページへのリンクから公開され次第、閲覧できます。
数学は全6個の大問が出題され、学科によって指定された個数の大問を自分で選択して解答する形式です。マテ工含め大体の学科は3問選択します。
試験時間は150分で1問あたり50分掛けられます。
それぞれの大問も分野は毎年決まっていて大問順に、
1 微積分学、微分方程式
2 行列
3 複素関数論
4 ベクトル解析
5 Laplace変換、Fourier変換
6 確率・統計
という構成になっています。基本はこの構成ですが正確なものは院の募集要項に記載されているのでそちらを確認してください。自分は今年(2025年度)大問1,2,3を選択しました。当初は1,3,5で行くつもりだったのですが2が思ったより簡単そう、5が計算ミスったらやばそう(しかも重め)だと判断した結果ですね。事前に解く候補に挙げていたのはのは1,2,3,5,(6)の範囲だったので何とかなりました。
専門科目にも通じることなのですが余分に範囲を勉強しておくと本番で難しめのを引いたときに別の簡単な問題に逃げることができ、点数の安定につながるので早めの対策は大事ですね。
体感では8割くらいできました。
物理・化学
実際に受験したわけではないので友達からの情報レベルの話を軽く書きます。対策とかはわかりません(orz
物理は力学と電磁気の2問構成で、大学入試レベルの知識+剛体運動、Maxwell方程式などの知識が要求されるらしいです。試験時間は120分なので数学よりは短いですがそこまでネックではないと言っていました。
問題自体は勉強していれば基本手が付けられないものはなく、7,8割は安定するといっていたのですがどうなのでしょう。彼らが優秀なだけかもしれませんが。しかし問題数が少ないので初手で計算ミスすると大爆死しかねないのが怖いとも言っていました。個人的な相性はありそうですね(適当)
化学は正直に言ってもっとわからないです。
物理と同じく120分で3問構成です。マテ工受験者で化学を選択していた人は5人程度だったので友達の中にはいませんでしたし、物理化学、無機、有機が出るっていうことしか知らないです。物理化学はマテリアル工学基礎と被る部分があるのでちょっとお得といった所でしょうか。
マテリアル工学基礎
一番大事です。後にも言及しますが配点の割合が最も高いとされています。(配点自体はは公表されていません)
大問は4問あり、2問を選択する形式です。試験時間は120分です。
1 熱力学・速度論
2 組織学
3 物性学
4 材料力学
の形式です。自分は1,4を選択しました。過去問も2022年度以降は形式をとっていますが急に変わることもあるのでマテ工(東京大学マテリアル工学科・専攻 (u-tokyo.ac.jp))の募集要項を確認してください。
関数電卓が渡されるので数値計算はそれを用いることになりますが、
とにかく使いにくい。ボタンの反応は悪く、大学の生協でよく売られている、多数の項を含む計算式を一気に計算できるCASIOの関数電卓に慣れていた自分はかなり扱いに慣れるのに苦戦しました。具体的には熱力学ではギブスエネルギーと平衡定数や気体の分圧を結ぶ式を使うことになるのですが、出てきた数値を1回ごとにメモしておかないと電卓の性能上答えが出せなくなります。事前に配布する電卓の種類は記載していた気がするのでろくに確認せずにいたのが裏目に出ました。
問題の難易度は物性が初見としてはかなり難しかったらしく、友達で解いた人はあまりいませんでしたね。一人だけ1,3を選んで全部解けたやつがいましたが相当すごいです。自分は物性学を最初から捨てて1,2,4の対策しかしていないかったので助かりました。
第1問が6割、第4問は8~9割できたかなという感じです。
対策
配点について
大学側からは公表していませんが噂ではこんな感じらしいです。(今度点数の開示請求をしようと思うので追記するかもしれないです。)
英語(TOEIC、TOEFLを換算)150点
一般教育科目 150点
専門科目 300点
口述試験 ?
口述試験は内部は2分程度で外部は4分なのでもしかしたらよほど問題がなければ関係ないのかもしれないですね。
数学
演習 大学院入試問題Ⅰ、Ⅱ(サイエンス社)を使って勉強していました。
Amazonで簡単に手に入ります。
例題に乗っている問題を自力で解けるようにして、適宜後ろについている演習問題で練習という流れです。この問題集は順番は多少違いますが分野別にされていて東大院の対策には使いやすいです。ただ問題数が非常に多いので取捨選択は必要かと思います。
ある程度力がついたら過去問を解いていきました。難易度も過去問を解いて把握する感じです。
先ほど勉強した範囲について、(6)という表現を先ほどしたのですが、これは正確に言うと勉強していません。どういうことかというと確率は大学入試レベルの問題が出ることがあるのでそもそもやる必要がないということです。ただ漸化式作って解く、みたいなパターンです。逆に大学レベルの統計知識が必要な場合は諦めて解く候補から外していました。
なので全体としては4.5問分対策して3問選んだ形になります。よほど特定の範囲に自信がない限り4,5問分は対策しておきましょう。
マテリアル工学基礎
先ほど触れたように配点が大きいので疎かにしてはいけない科目です。
まず対策に使ったのは授業で配布された問題集ですね。
外部の方でもマテ工のホームページから請求できるのでこれは入手すべきですね。分野別になっていて院試の範囲と基本マッチしているので過去問の前に取り組むといいと思います。
ただ、基本問題にしか解答がついてなくて応用問題は自分で解答を作成しなければならないのが難しいポイントでしょう。要望があれば過去問解答含めnoteに乗せるのもありかもしれませんね。Texの練習にもなりますし。
それはさておき、使えそうな教科書でもいくつか挙げておきます。
・アトキンス物理化学上・下巻(熱力学・速度論対策)
章末問題の解答は別売りだが別に買う必要はない。多すぎてやる時間がな
い。出てくる式の導出、使い方が大事。該当の範囲だけやればOK
・ミクロ組織の熱力学 (組織学)
・物質からの回折と結像(組織学)
・入門転位論(組織学、材料力学)
いずれも授業で薦められた参考書です。自分は入門転位論のみ購入しましたが過去問を見る限り参考書ベースで出題している感じがするので、購入して損するものはないと思います。今後研究で使うかも知れないですし。
・初歩から学ぶ固体物性学(物性学)
物性学は基本的にここから出ることが多い。ただ、内容は難しく、覚えることも多いので勉強時間は必要らしいです。
ほかにも使える参考書はありますがメジャーなものを上げてみました。
過去問に出る問題もここらの内容を抑えていれば解ける難易度になっているので、過去問の出来で大体の定着度が分かると思います。
マテ工基礎は300点の配点に対して多くて20問、少なければ12問とかなのでとにかく1問が重く、勉強した範囲に対して実際に出る範囲が非常に小さいのでヤマ張って勉強するのはやめましょう。
英語
TOEICまたはTOEFLのスコアを提出する方式です。自分はTOEICを出しました。点数は885点でおそらく平均よりは高いです。換算に関しては具体的な式は知らないのですが、それぞれのテスト方式での分布を取り、TOEIC、TOEFLで別々の換算式を用いて得点調整をします。
これは先生から聞いたことなので確かですね。TOEFLのほうが難しいので上方に補正が入りやすいとも聞きました。対策は問題集を買って単語覚えて、リスニングやったくらいです。TOEFL組もそこにWriting&Speakingが加わった感じでしょう。
面接
内部だから2分ということで、対策は全くしてないです。
聞かれた質問も割かし適当で
「筆記どうだった?」とかそんなレベルでしたね。
ぶっちゃけ茶番です。大学に行くのが試験みたいなものです。
合格ラインについて
一番大事ですよね。結果の開示も得られてないので確かなことは言えませんが、筆記600点のうち7~8割とれば確実に合格できると思います。高くね?とおもうか普通と思うかはそれぞれだとは思いますがあくまでも確実なラインはこのくらいという意味です。実際は半分くらいでも通るかもしれませんしそこは年によって変わるでしょう。
ただ、濃厚なのは内部と外部で合格に要求されている点数は違うかもしれないという点ですね(確証は全くありませんし、追及しても院試の採点はブラックボックスなので水掛け論になります)。
これに関しては他の大学院でも聞く話ですし不思議な話ではないと思います。そうであれば、合否判定をする権利があちらにある以上従うしかないので、外部から狙う場合は高得点狙うつもりで挑むのが吉でしょう。
逆に内部から受ける場合は余裕ぶっこいていると弾かれるので、しっかり勉強しましょう。というかギリギリで受かると二次配属になって希望の研究室行けずに、興味ない分野&研究室が遠いみたいなことになりかねないので実質的な合格は第一希望の研究室に配属されることだと思った方がいいでしょう。
まとめ
初回にしては書きすぎ(?)たような気がしますが今後東大の大学院を受ける、マテ工を受ける方の参考になればなと思います。これからは趣味や日常の出来事に関することを暇なときにかければなと思います。
次回はTex形式に慣れるためにも院試の過去問or問題集の解答でも掲載しようかな..
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