あなたはどっちが好き?
幻の山のロザリア
今では誰もが知っている「山の娘ロザリア」実はこの歌は、昭和31年に「牧場のロザリア」というタイトルで歌われたが、そのときはさっぱり売れなかったという。
それから5年後の昭和36年になって、当時の歌声喫茶などでこの歌が聞かれるようになり、スリーグレイセスが歌って大ヒットとなったという。
この歌は一般に下記の歌詞が知られていて、彼女たちもこの訳詞で歌っている。しかし、この歌にはもう一つ、詩情豊かで、胸にしみいる歌が存在している。
2つとも以下に紹介します。あなたはどっちが好きですか?
ロシア民謡、日本語詞:丘灯至夫
1 山の娘ロザリア いつも一人うたうよ
青い牧場日昏れて 星の出るころ
帰れ帰れも一度 忘れられぬあの日よ
涙ながし別れた 君の姿よ
2 黒い瞳ロザリア 今日も一人うたうよ
風にゆれる花のよう 笛を鳴らして
帰れ帰れも一度 やさしかったあの人
胸に抱くは形見の 銀のロケット
3 一人娘ロザリア 山の歌をうたうよ
歌は甘く哀しく 星もまたたく 帰れ帰れも一度 命かけたあの夢
移り変わる世の中 花も散りゆく
4 山の娘ロザリア いつも一人うたうよ
青い牧場小やぎも 夢をみるころ帰れ帰れも一度 忘れられぬあの日よ
涙ながし別れた 君の姿よ
訳詞 音羽たかし ダークダックス
(1) 山の乙女 ロザリア
一人淋しき 山小屋の
貧しきその身は ひとすじに
愛の真(まこと)を
すずらん香る 山かげの
谷間に春の 訪なわば
哀れ小さきその胸に
恋の花開く
(2) 清き夏の 朝(あした)に
山に傷つく 若者の
永遠(とわ)の眠りに つけるをば 風は伝えぬ
乙女の想い 星は知る
今宵山の頂きに
青く優しく輝きて
そっといたわる
(3) 哀れ山の ロザリア
雪と氷の 奥深く
恋せし者の 後を追う
春に背きて
逝ける乙女の 胸の内
すずらん知るや知らずや
今も五月の山肌に輝きて
真白きその花を
こちらはダーク・ダックスが歌った「山のロザリア」である。
みながよく知っているのは、歌いやすくヒットしたスリー・グレイセスの方である。
下の方は詩情豊かで、ロシア民謡の原文に近い。
貧しいながらも心美しい乙女が一人で山小屋に住んでいる。
すずらんの花咲き乱れる山に春が訪れ、愛を信じる乙女の心に恋する心が花開く。
だが、恋した若者はある夏の朝、この世を去った。
乙女の心を察した星星は山の頂にそっと優しく輝き、乙女をいたわる。
やがて来る春を待たず、雪と氷の奥深くに、ロザリアは恋した若者のあとをって身を捧げた。
死に向かった乙女の心をすずらんは知っているのだろうか。
今も5月になると山には真っ白なその花を咲かせている。
ヒットした方と比べてみると、あまりに美しく哀しい。
あなたはどちらが好きですか?