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風に吹かれて、君の元に

−今日は一日中雨が降るでしょう。そして非常に強い風が吹き、東京では最大瞬間風速30m/sを越える非常に強い風を観測する予想です。−
そんな天気予報で月曜日の朝はさらに憂鬱になる。休み明け早起きだけで辛いのに、天気も悪いとなると休むことを検討してしまう。しかし雨の日のたびに休む訳にも行かないので、心を無にして淡々と準備を進める。
「よし、行ってきます。」
やはり雨が降っており、風もだいぶ強かった。普段は自転車の道のりも今日は強風のため歩くことにした。ビューと傘に風が強く当たる。早く学校に着きたい一心で少し小走りになる。あと横断歩道を渡れば学校に着くところで、いきなり風向きが変わった。その時私の傘は骨が折れ、壊れてしまった。とりあえず学校に駆け込んだ。
「本当に今日はついてない。」
落ち込むのも程々に友達に会って早く笑い話にしてしまおうと、教室に向かった。友達には盛大に笑われた。そして今日は夜まで止まないことも言われた。今日の放課後は月に一度の委員会があった。そこには気になる先輩もいるため、この髪型が崩れた状態で行くのはすごく嫌だった。放課後なんて来るなと思っていても時間は流れ、帰りのホームルームになった。ホームルームも終わり、委員会の教室に向かう。教室に入るとすでに先輩は座っていて、お疲れ様と声をかけられる。
「お疲れ様です。」
私は髪の崩れがわからないように少し俯きながら隣に座った。
「なんか元気ないけど、どうしたの?」
と聞かれ、今日のことをできるだけ明るく、笑ってもらえるように話した。
「今日夜まで雨だよ。大丈夫?」
と先輩は心配そうに尋ねた。
「走って帰るので大丈夫です。」
と私は明るく答えた。しかし先輩はしばらく黙り込んでしまった。あのーと声をかけようとすると
「嫌じゃなかったら、この後一緒に帰ろう。家まで送るよ。」
と先輩は言った。私はすごく嬉しくなり
「いいんですか?すごく嬉しいです。」
と答えた。先輩は少し微笑み、委員会は始まった。
たまには風も悪くないそう思った一日だった。

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