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衣類の毛玉の原因と対策をクリーニング屋が少し語る★

お気に入りのセーターに毛玉ができてしまい、がっかりした経験はありませんか?

毛玉は、衣類の表面にできる小さな繊維の塊で、見た目を損ねてしまう厄介者です。

しかし、毛玉ができる原因と対策を理解すれば、毛玉の発生を予防し、衣類を長く美しく保つことができます。


毛玉の原因

毛玉は、衣類の繊維が摩擦や静電気によって絡み合い、小さな球状になったものです。
例えば、お気に入りのニットを着て出かけたら、帰宅後には袖口や脇の下に毛玉ができていた、なんて経験はありませんか?これは、着用中の摩擦によって繊維が絡み合い、毛玉ができてしまったのです。

摩擦
衣類を着用したり、洗濯したりする際の摩擦が毛玉の発生源となります 。繊維同士がこすれ合うことで、繊維の先端が毛羽立ち、それが絡み合って毛玉になるのです。リュックサックの肩紐や、ベルトの当たる部分など、摩擦が起こりやすい箇所は注意!

静電気
静電気は、繊維を互いに引き寄せ、絡み合わせることで毛玉を発生させます。乾燥した環境では静電気が発生しやすいため、冬場などは特に注意が必要です。静電気は、衣類の摩擦によって発生しやすくなります。化学繊維製の衣類は、静電気を帯びやすいため、毛玉ができやすい傾向があります。

素材
繊維の長さや太さ、撚り方などによって毛玉のできやすさは異なります。一般的に、短い繊維や細い繊維は毛玉ができやすいです。また、素材の柔らかさも毛玉のできやすさに影響します。柔らかい素材は、繊維が動きやすく、絡み合いやすいため、毛玉ができやすい傾向があり!

洗濯方法
洗濯機の水流や乾燥機の熱も毛玉の原因となります。洗濯機の中で衣類が激しく回転することで、繊維同士がこすれ合い、毛玉が発生します。乾燥機の熱は、繊維を硬化させ、毛玉をできやすくする原因となります。

毛玉のできやすい素材とできにくい素材

毛玉のできやすい素材

  • ウール: 柔らかく、保温性に優れている一方、毛羽立ちやすく毛玉ができやすい素材です。特に、メリノウールなど、繊維が細いものは毛玉が目立ちやすいです。

  • ウールとポリエステルの混紡素材は、ウール100%のものに比べて毛玉ができにくい傾向があります。しかし、ポリエステルの割合が多いほど、静電気が発生しやすくなるため、注意が必要です。

  • ウールとアクリルの混紡素材は、アクリルの割合が多いほど毛玉ができやすくなります。

  • カシミヤ: 高級素材として知られるカシミヤも、ウールと同様に毛羽立ちやすく、毛玉ができやすい素材です。

  • アンゴラ: アンゴラウサギの毛から作られるアンゴラは、非常に柔らかく、繊細な素材です。そのため、摩擦に弱く、毛玉ができやすいです。

  • アクリル: アクリルは、合成繊維の中でも毛玉ができやすい素材です。特に、アクリル100%のものは毛玉が目立ちやすい傾向があります。

  • レーヨン: レーヨンは、吸湿性や肌触りが良い素材ですが、摩擦に弱く、毛玉ができやすいです。


毛玉のできにくい素材 

  • 綿: 天然繊維である綿は、比較的毛玉ができにくい素材です。丈夫で吸水性にも優れているため、日常着に最適です。

  • : 麻も天然繊維であり、綿と同様に毛玉ができにくい素材です。通気性や吸水性に優れており、夏場に適しています。

  • ポリエステル: 合成繊維であるポリエステルは、強度が高く、シワになりにくいのが特徴です。毛玉もできにくい素材ですが、静電気を帯びやすいというデメリットもあります。

  • ナイロン: ナイロンも合成繊維であり、ポリエステルと同様に強度が高く、毛玉ができにくい素材です。

上記はあくまで一般的な傾向であり、同じ素材でも、繊維の長さや太さ、撚り方、生地の織り方によって毛玉のできやすさは異なります。
多くの場合、毛玉ができやすい素材は動物性繊維や、それに似た質感を持つ合成繊維です。これらの繊維は、柔らかく、表面に毛羽立ちがあるため、繊維同士が絡み合いやすく、毛玉が発生しやすいのです。


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毛玉たくさんついて嫌なんですよね~★

毛玉対策

1. 素材選び

普段着には綿やポリエステル製の衣類を選び、フォーマルな場にはウールやカシミヤ製の衣類を選ぶなど、TPOに合わせて素材を選ぶことが大切です。

2. 洗濯方法

洗濯方法によって、毛玉の発生を抑制することができます。

  • 洗濯ネットを使用する: 洗濯ネットを使用することで、衣類同士の摩擦を軽減し、毛玉の発生を抑えることができます。特に、デリケートな素材の衣類は、必ず洗濯ネットに入れましょう。

  • 裏返して洗う: 衣類を裏返して洗うことで、表面の摩擦を軽減し、毛玉の発生を抑えることができます。

  • 手洗いする: 可能であれば、手洗いすることで、洗濯機による摩擦を避け、毛玉の発生を最小限に抑えることができます。

  • 適切な洗剤を使用する: 中性洗剤など、衣類に優しい洗剤を使用しましょう。

  • 洗濯機の設定: 洗濯機の回転数を弱めにする、おしゃれ着洗いコースを選ぶなど、洗濯機の設定を調整することで、衣類への負担を軽減することができます。

  • 乾燥機を避ける: 乾燥機の熱は、繊維を傷め、毛玉をできやすくする原因となります 。乾燥機を使用する場合は、低温で短時間にするか、自然乾燥を選びましょう。

  • 乾燥機を使わずに衣類を乾かす場合は、「ぬれ干し」と「日陰のぬれ干し」という方法があります。 「ぬれ干し」とは、洗濯機による脱水や、手でねじり絞りをしないで干す方法です。衣類の重みで自然に水が落ちるため、シワになりにくく、生地への負担も軽減できます。「日陰のぬれ干し」は、直射日光を避け、日陰で干す方法です。色あせや黄ばみを防ぐ効果があります。

衣類の洗濯表示をよく確認し、適切な方法で洗濯しましょう。優しい洗濯を心がけることで、毛玉の発生を予防し、衣類を長持ちさせることができます。


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3. 着用方法

  • 摩擦を避ける: 毛玉のできやすい部分は、摩擦を避けるようにしましょう 。例えば、セーターを着る際は、上にコートを羽織るなどして、直接摩擦が起こらないようにすると良いでしょう。

  • アクセサリーに注意: ネックレスやブレスレットなどのアクセサリーは、衣類と擦れて毛玉の原因となることがあります。アクセサリーを着用する際は、衣類との摩擦に注意しましょう。

  • バッグの持ち方に注意: ショルダーバッグやリュックサックは、衣類と擦れて毛玉ができやすいです。バッグの持ち方を変える、摩擦防止パッドを使用するなど、工夫してみましょう。

4. 毛玉取り

毛玉ができたら、早めに取り除くことが大切です。毛玉取り器やブラシなどを使用して、丁寧に毛玉を取り除きましょう。

  • 毛玉取り器: 毛玉取り器は、衣類の表面を傷つけずに毛玉を取り除くことができる便利な道具です。毛玉取り器の種類と選び方、使い方については、後ほど詳しく解説します。

  • ブラシ: 毛玉取りブラシは、衣類の表面を優しくブラッシングすることで、毛玉を取り除くことができます。

  • ハサミ: 毛玉を一つずつ丁寧にハサミで切る方法もありますが、衣類を傷つけやすいので注意が必要です。

  • T字カミソリ: T字カミソリで毛玉を剃る方法もありますが、生地を傷つけやすいので注意が必要です 。

5. 毛玉取り器の種類と選び方

毛玉取り器には、大きく分けて「手動タイプ」と「電動タイプ」があります。
手動タイプ 

  • メリット:

生地を傷つけにくい。
電源が不要なので、どこでも使える。
価格が安い。

メリット
  • デメリット:

毛玉を取るのに時間がかかる。
広範囲の毛玉を取るのに向いていない。

デメリット

電動タイプ 

  • メリット:

毛玉を素早く取り除くことができる。
広範囲の毛玉を取るのに向いている。

メリット
  • デメリット:

生地を傷つけやすい場合がある。
電源が必要。
価格が高い。

デメリット

電動タイプの電源方式
電動タイプの中でも、電源方式は「コンセント式」「乾電池式」「充電式」の3種類があります。

  • コンセント式: 電源を気にせず使えるのがメリットですが、コードが邪魔になる場合もあります。

  • 乾電池式: コンパクトで持ち運びに便利ですが、ランニングコストがかかります。

  • 充電式: 場所を選ばずに使えるのがメリットですが、充電が必要になります。

6. 毛玉取り器の使い方

毛玉取り器を使用する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 衣類の準備: 毛玉取り器をかける前に、衣類を平らな場所に置き、ブラシなどでホコリやゴミを取り除きましょう。

  • 衣類を平らな場所に置く: 毛玉取り器をかける前に、衣類を平らな場所に置きましょう。平らな場所で作業することで、生地を均一にカットすることができます。

  • 生地を引っ張らない: 生地を引っ張ると、毛玉取り器の刃が生地を傷つけてしまう可能性があります。生地を引っ張らずに、毛玉取り器を優しく滑らせるように動かしましょう。

  • 同じ場所に長時間当てない: 同じ場所に長時間当てると、生地が薄くなったり、穴が開いたりする可能性があります 。毛玉取り器を動かしながら、まんべんなく毛玉を取り除きましょう。

  • 毛足が長い衣類には使用しない: 毛足の長い衣類に毛玉取り器を使用すると、毛足を切ってしまう可能性があります。毛足の長い衣類には、毛玉取りブラシなどを使用しましょう。

  • デリケートな素材には使用しない: デリケートな素材の衣類には、毛玉取り器を使用しない方が良いでしょう。

公式ウェブサイト

7. 衣類の保管方法

衣類の保管方法も、毛玉の発生に影響します。

  • ハンガーに吊るさない: ニットなど、毛玉ができやすい衣類は、ハンガーに吊るすと、重みで生地が伸びてしまい、毛玉ができやすくなります。畳んで保管しましょう。

  • 防虫剤を使用する: 防虫剤は、虫食いを防ぐだけでなく、湿気やカビからも衣類を守ってくれます。

  • 湿気の少ない場所に保管する: 湿気は、カビやダニの発生原因となり、衣類を傷める原因にもなります。湿気の少ない場所に保管しましょう。

  • クリーニング後: クリーニングから戻ってきた衣類は、ビニール袋から出して保管しましょう。ビニール袋に入れたままだと、湿気がこもり、カビや変色の原因となります 。

冬物衣類の保管方法
冬物衣類は、長期間保管することが多いため、特に注意が必要です。

  • コート: コートは、型崩れを防ぐために、厚みのあるハンガーに吊るして保管しましょう。

  • セーター: セーターは、畳んで保管しましょう。 防虫剤を一緒に入れておくと、虫食いを防ぐことができます。

  • ダウンジャケット: ダウンジャケットは、圧縮袋などに入れて保管すると、かさばらずに収納できます。 ただし、長期間圧縮したままにすると、ダウンの保温性が低下する可能性があるので、注意が必要です。

8. 静電気防止スプレーの効果的な使い方

静電気防止スプレーは、衣類に静電気を帯びにくくする効果があります。静電気を抑えることで、毛玉の発生を抑制することができます。

  • スプレーするタイミング: 衣類を着用する直前にスプレーしましょう。

  • スプレーする距離: 衣類から20~30cmほど離してスプレーしましょう。

  • スプレーした後: スプレーした後、軽く手で叩くなどして、全体に馴染ませましょう。

  • 使用頻度: 必要に応じて、1日に何度かスプレーしても構いません。

静電気防止スプレーの効果を高めるためには、以下の点に注意しましょう。

  • 乾燥した環境を避ける: 加湿器を使用するなどして、室内の湿度を高く保ちましょう。

  • 静電気を発生させやすい素材を避ける: 化学繊維製の衣類は、静電気を発生させやすいので、なるべく天然繊維製の衣類を選びましょう。

  • 柔軟剤を使用する: 柔軟剤には、静電気を抑える効果があります。洗濯時に柔軟剤を使用しましょう 。柔軟剤を選ぶ際は、静電気防止効果の高いものを選ぶと良いでしょう。


まとめ

毛玉は、衣類の繊維が摩擦や静電気によって絡み合ってできるものです。毛玉は、衣類の見た目を損ね、着用感も悪くしてしまうため、できるだけ発生を予防したいものです。
毛玉の発生を予防するためには、素材選び、洗濯方法、着用方法、保管方法など、様々な点に注意する必要があります。毛玉ができやすい素材を避け、適切な洗濯方法や着用方法を心がけ、衣類を丁寧に保管することで、毛玉の発生を抑制することができます。
毛玉取り器や静電気防止スプレーなどのアイテムを効果的に活用することも、毛玉対策として有効です。

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