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探検?遭難?サバイバルアマゾンツアー③

③ かっぱのアマゾン川ながれ

 アマゾン突入早々に、ピラニアとワニの昼食を済ませ、再び探検隊は爆走し始める。あまりの悪路に、トラックの荷台席を丁寧に辞退し、リーダーのホルヘの助手席に座らしてもらう。
 「どうした、顔色が悪いぞ! もう少し走れば、今日のキャンプ地に着く。俺が見つけた最高の場所だ!」 ホルヘがウルトラハイテンションで運転しながら叫ぶ。
 「もう少し」とは「3時間」のことだった…。「最高のキャンプ地」は、「ジャングルに囲まれたバレーコートほどの面積の平地」のことだった。

どのあたりが最高なのか小首をかしげていると、ホルヘが言った。
 「すぐ近くに、川があるから、泳いでさっぱりしようぜ!」
 「いやいや、さっき、ピラニアとワニ食べたんですが、川で泳ぐの?」
 「その川は、アマゾン川の小さな支流で、水もきれいで、ワニもピラニアもいないから心配すんな!」

 ぐずってジャングルに放置されるのも怖いのでしぶしぶついていく。
 「きれいで小さな支流」というが、まっ茶色の日本の一級河川くらいの大河だった。おっさんらは、子どものようにはしゃぎながら、我先に川に飛び込んでいく。しばらく観察していたが、映画『ジョーズ』のようなことにもならず、まあ大丈夫そうだ。
(ファーストペンギンって、こんな話だったっけ?)

 僕は泳ぎはまあまあ得意なので、「岸辺でちょっと泳ぐくらいなら、話のタネに。」と決心し、川に入った。
 が、ちょっと調子に乗って岸から離れたとたん、強い水の流れに引っ張られた。コンマ何秒の瞬間、脳内で「これはヤバイ。すぐに流れから外れないと、あっというまに大河の真ん中まで引きずられてお陀仏だ。」と警報が鳴り、人生で最大の瞬発力で岸に向かって泳いだ。
幸い、数十メートルほど下流に流されただけで岸に戻ることができた。腰が抜けてしばらく立てない。おっさんらは、夏休みの市民プールぐらいのテンションで、まだはしゃいで泳いでいるじゃないか…。

気がつくと、横にサブリーダーのナンドがいた。
「こんなとこで泳ぐなんて、あいつらはアホだ。カンディルがいるかもしれねえのによ。」
「カンディル?」
「ピラニアより恐ろしい、人食い鯰だ。小さいが、人間の体の穴という穴から体内に入り込み、内臓に食らいつく。入られたら助からねえ。」

先に言っとけえ!!!!!!! 本日2度目の命がけのツッコミを絶叫し、自分の全身をくまなくチェックするが無事だった。おっさんらも無事に全員生還したが、ホルヘの言うことはもう絶対に聞かないでおこうと、決心したのであった。

④ 落雷5本、今すぐ脱出せよ! に続く。


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